2024年 4月 19日 (金)

新しい産業革命か?一過性のブームか? いま話題の「NFT」実態に迫る

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NFTトレカは流行るか?!

   スポーツとの関連については、世界初のファン投票アプリ「Socios.com」CEOのアレクサンドル・ドレフュスさんと、同社の元木佑輔さんが解説している。

   たとえば、従来のように、実物を保有することに大きな意味があった紙のトレーディングカードゲーム(カードを使った対戦型ゲーム)とは異なる世界となっていく。具体的には、ネットワーク上で世界中のプレイヤーと競い合いながら、報酬も受け取ることができる、新しい娯楽になるというのだ。

   一方、NFTは知識さえあれば、実質誰でも発行できるため、模造品や類似品の発生を防ぐための枠組みつくりが必要だ、と指摘している。

   国内でNFTトレーディングカード事業を手掛ける「coinbook」の奥秋淳さんは、ネットワーク手数料(ガス代)をどう削減していいかも課題だという。

   現在主流のイーサリアムネットワークを利用したNFTでは、数百円といった商品では、ガス代の割合が大きく、不急に時間がかかる、と懸念している。また、所有者以外が画像を見ることができてしまう、NFT自体がもつ課題もある。「ガス代」という表現がなんとも面白い。

   こうした各ジャンルでの指摘を踏まえ、増田雅史さんが法律と会計の課題について解説している。

   NFTは法律上の概念ではなく、NFTの発行・保有・販売にまつわる法律関係は、明らかでないと前置きしている。NFTは「デジタル所有権」を実現する仕組みだといわれるが、本当にそうなのか。著作権をふまえて検討している。

   さまざまなケースを挙げて、「デジタル所有権」と表現することは適切ではない、とした。そのうえで、「『所有』類似の効果を実現しようとする野心的な取り組み」と評価している。

   さらに、NFTと金融規制、会計処理、税務上の取扱、賭博罪などリスクを生みやすい法的論点について、多くの弁護士が見解を披露しているので、参考になるだろう。

   NFTの未来について、日本経済新聞記者の関口慶太さんは、海外でも人気の高いゲームやアニメ、漫画を多く保有する日本は世界でもNFT市場の中心となる可能性があると見ている。

   しかし、投機マネーが席巻しすぎると、NFTバブルが崩壊し、短命になる懸念があるとも。一過性のブームに終わらせないためにも、さまざまなルールづくりが求められている。

(渡辺淳悦)

「NFTの教科書」
天羽健介・増田雅史編著
朝日新聞出版
1980円(税込)

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