大企業の平均給与「月39万円」ってどうなの!? 経団連調査に驚きの声...これでは賃上げ無理?

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「日本を代表する大企業の給料って、こんなに安いの!」

   驚きの声がネットからあがった。

   日本経済団体連合会(経団連)が2022年1月18日、春闘前に毎年恒例の会員企業の平均給与を調べた「2021年6月度『定期賃金調査結果』」を発表したのだが、ここにある平均賃金「月額39万1408円」という数字に評価が分かれた。

   折しも、岸田政権は「3%の賃上げ」を経済界に求め、労働側の日本労働組合総連合会(連合)も「定期昇給分2%を含めた4%の賃上げ」を要求、受けて立つ経団連の「給料」の中身が注目されていた。

   「賃上げをあきらめさせるプロパカンダでは?」などというあきらめの声もでたりして......。

  • 他人の給料は気になるものだが…(写真はイメージ)
    他人の給料は気になるものだが…(写真はイメージ)
  • 他人の給料は気になるものだが…(写真はイメージ)

大卒初任給は総合職22万2821円、一般職19万7580円

   「定期賃金調査結果」は、経団連が春闘開始時に合わせて1953年から毎年発表しているものだ。全産業の平均賃金は昨年(2020年)の39万2717円から微減の39万1408円だった。

   学歴別の賃金をみると、すべての学歴で年齢、勤続年数が上がるにつれて金額が増加する「年功序列型」が色濃くみられる。55歳でピークを迎えたあと、役職定年などの影響によって、横ばい、または減少する傾向が続いている=図表1参照

(図表1)学歴別の標準者賃金(経団連作成)
(図表1)学歴別の標準者賃金(経団連作成)

   初任給の平均が、大学卒総合職では22万2821円、同一般職では19万7580円、高校卒総合職は17万7187円、同一般職では17万680円、同生産・現業労働者では17万4810円となった。

   また、役職別の賃金をみると、まず、係長に昇進する年齢の平均が44.1歳(勤続18.4年)、課長が48.1歳(22.0年)、部次長が51.0歳(24.7年)、部長が52.5歳(26.0年)、取締役兼務部長(25.0年)が54.7歳だ。さすがに、大企業では「役職」につくのにずいぶん長くかかるものだ=図表2参照

(図表2)役職者賃金の一覧(経団連作成)
(図表2)役職者賃金の一覧(経団連作成)

   大学卒を中心に、こうした役職登用・昇進時期にあたる35~40歳や40~45歳では賃金増加額が高くなっている。一方、高校卒などほかの学歴では、25~30歳および30~35歳の間で大きく増加する傾向がある。この理由について、経団連では「(結婚などによって)世帯形成時期にある年齢層の賃金を重点的に引き上げていることがうかがえる」と説明している。

係長41万1183円、課長54万4015円、部長72万55円

   この結果、係長の平均賃金が41万1183円、課長が54万4015円、部次長が60万107円、部長が72万55円、そして取締役兼務部長が100万816円となった。ただし、これらはいわゆる「残業代」が含まれない「所定労働時間内」での計算だ。実際に手にする額はこれより高い可能性もある。

   それぞれの役職の賃金上昇・下落の金額をみると、面白い傾向が明らかになった。取締役兼部長がマイナス3万9969円、部長がプラス1万3008円、部次長がマイナス1万356円、課長がプラス2645円、係長がマイナス2614円と、取締役兼部長と部次長が大きく減額したのに、部長と課長だけが増額して「おいしい目」をみていたのだ。

   産業別に賃金をみると、全産業平均は39万1408円だった。繊維・衣服、金属工業、機械器具などの製造業の平均は37万7922円だが、土木・建設、卸売り・小売業、金融・保険業、サービス業などの非製造業は41万8086円で、製造業よりも高い。

   しかし、昨年(2020年)からの伸び率をみると、製造業平均が5万4610円増(20年比プラス1万6089円)、非製造業平均が5万4452円増(同プラス8388円)となり、製造業のほうが賃金上昇率は高いことがわかる。経団連では、「製造業が大きく増加し、コロナ禍による需要減少から回復傾向にあることがうかがえる」と説明している。

   なお、調査は経団連企業会員および東京経営者協会会員企業の計2061社を対象に、2021年9月6日~10月26日に実施。329社(16.0%)から回答を得た。

「日本の中間所得層400万円代という政府と出来レース」?

   今回の結果をどうみるか。ヤフーニュースのヤフコメ欄には「大企業の給料って、意外に安い」という驚きの声が目立った。

日本経済団体連合本部のある「経団連ビル」(東京都千代田区大手町)
日本経済団体連合本部のある「経団連ビル」(東京都千代田区大手町)
「安い! これ本当! 日本の中間所得層が400万円台と政府との出来レースでしょう。分厚い中間所得層が400万円台って話のプロパガンダだと思う。本当に貧困国家だと思う」
「ウチは平均より結構高いなぁと思ってデータをよく見てみたら、よその会社は月間の超勤を1日に均(なら)すと1時間未満なのか? マジかよ! 係長クラスの年収が500万円前後っていうのは、ちょっと安いように感じるけど、(中略)このくらいの立場の社員が突出して残業しているだろうから、実際には大半が600万円台は稼いでいると思う」
「社員を大事にしてない企業が多すぎるからな。もう北欧には追い付けないと思う」

あきらめの声、うらやむ声、変えていこうとする人

   そして、こんなあきらめの声も――。

「サービス業、特に飲食業やホテルなどの宿泊業は過当競争なので、あげようにもあげられない。参入の敷居は低いし、また誰でもできてしまうところが給料の上がらない根元だと思います。なので、おそらくどうしようもないです」

   一方で、「やっぱり高い」とうらやむ声もあった。

「これよりずっと待遇の悪い経団連非加入企業・下請け・非正規は、この統計の対象外になっていることに留意すべし」
「20代の中では、年収400万円は高給取りです。今さらベースを上げたところで、毎月10万で生活できればよいと刷り込まれた価値観はなかなか変えられない。贅沢に興味をなくしていて、中古品でも最低限でよいとのこと」「ベースを上げて欲しいのは30代~40代のほうでは? と20代世代のグループと飲んでいる時に、今の賃金について質問をしたところ返事されました」

   やはり給与の話題ともなると関心が高く、こんな意見も寄せられた。

「一部上場企業に勤めている方は、(中略)難関を突破して入社した方だから、この程度は当然の待遇だろう」「俺は中小企業勤務だが、数年前から労働組合の執行部に入り、(中略)賃上げや待遇面の改善など格差是正に勤しんでいる」「上部団体からはリーディング組合との評価を受けている。中小企業、下請けの皆さんもエリートじゃなくてもやれることはある」
「ちょっと、ちょっと。あの人の給与はきっと...という昭和の井戸端会議。いつも人のことばっかり引き合いにして一喜一憂。『アリさんは夏に努力して冬にそなえたから』と、キリギリスがやっかんで『どれだけあるんだ?』と」

(福田和郎)

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