2024年 4月 27日 (土)

変わらなければならないのは「教える」上司と「教わる」部下の両方です! リクルートマネジメントソリューションズの桑原正義氏に聞く(後編)

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Z世代に学ぶ「Well-being」な考え方

――Z世代の新しい社員がリモート環境に慣れている人たちだとすると、変わらなければならないのは上司や教える側なのでしょうか?

桑原さん「人材育成や新入社員研修には、『育てる』と『生かす』という2つのテーマがあります。
   『育てる』では、教える側の中にある知識や経験などをしっかり伝え、育成していくアプローチです。新入社員の中に今はないけれど、新たに必要なものを獲得させていく方法です。これは今も変わりません。ただ、相手の新入社員の価値観やフィットする学び方は変化していますので、育て方についてはアップデートしていく必要があります。
   一方の『生かす』では、相手の中にあるもの、たとえば強みや得意なやり方、やる気の源泉などを生かしていくことで、主体性や創造性につなげていくアプローチです。この『生かす』アプローチは、一人ひとりの個性や多様性を認め、自分らしさを生かしていくことで、『Well-being』の向上につながります。それが『組織へのエンゲージメント』や『新しい価値の創造』にプラスに働くというエビデンスが出てくるようになり、新たなマネジメントのパラダイムとして注目されています。こうしたアプローチやその根底にある価値観にフィットしているのが、まさにZ世代。彼らのいいところを組織にどんどん反映させるためにも、むしろ上司や教える側が『Z世代に学ぶ』くらいの勢いがあってもいいでしょう」
桑原正義さんは「他者や異質から学ぶことをしないと自分自身が置き去りにされる」と手厳しい
桑原正義さんは「他者や異質から学ぶことをしないと自分自身が置き去りにされる」と手厳しい

――教える側が学んだりするのは、ちょっとハードル高いような気がします。会社では先輩と後輩の関係ですし、上司や先輩はどうやって後輩から吸収していけばいいのでしょう。

桑原さん「心理的な抵抗感といいますか、ハードルはもちろんあると思います。そこは、肩の力を抜いて、気負わずに、一人ひとりの人間同士の付き合いをしていくことに尽きるのではないでしょうか。世代の違いは放っておくと価値観が違うので、分断してしまいがちです。仕事ではもちろん普通に接しますが、それ以外は面倒だったり、『疲れるな』みたいな感覚になってしまったり......。しかし、環境変化の時代の中で新しい方向に動くときは、やはり他者や異質から学んでいかないと、結局は自分自身が置いていかれてしまいます。
   そういう意味で、若者を『自分が持ってないものを持っている可能性がある存在』として接してみてはいかがでしょうか。若者が今までにないものを持っている半面、ないものもある。その部分は、上の世代がたくさん持っているものです。つまり、若者とベテランは互いにいい協力関係をつなげる。力を合わせて、もっと面白いことできるパートナーと考えたらいいと思います」

――桑原さんが実際に若い世代と接してみて、どのような感想を持ちましたか。

桑原さん「私もNPOや大学講師を通じて高校生や大学生と活動していますが、ゆるいところがあるなと(笑)。時間にルーズだったり、やりたくないことは全然進まなかったり......。これは、ベテラン世代からすると、物足りなさを感じるかもしれません。しかし、途中で面白いことに気づきました。そのゆるさには、余白のようなところがあって、そこには異なる価値観やいろいろな考えが存在できて、自分らしくもいられる。そしてそれらが交わることで、面白いアイデアや新しいやり方が生まれたりしています。そうか......、正解のある時代にはゆるさはマイナスだったけど、Well-beingや新しい価値の創造の時代にはプラスに働くものなんだな、と若者から学べました」
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