2024年 4月 24日 (水)

「働きがいのある会社」ランキングで女性2位 その背景に社員のつながり促す「仕掛け」の存在 アメックス 副社長の水村直美さんに聞く

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

「信頼のサービス」を提供するために社員をバックアップ

   ――女性活躍をサポートするWINでは、どのようなイベントを開催しているのでしょうか。

水村さん「たとえば、3月の国際女性デーにあわせて、キャリアコーチの方をお呼びして、オンライン上でキャリア形成のセッションを行ないました。各イベントは通常、所属メンバーが参加することが多いのですが、全社員に参加を呼び掛けるものもあります。国際女性デーの関連イベントの多くは誰でも参加でき、社内の注目度も高かったです。
   ちなみに、WINの活動テーマには、ネットワーキング(社員同士のつながり)、キャリア、ウェルビーイング(心と体の健康)があります。ウェルビーイングのイベントでは、クッキングやヨガといった、みんなで楽しめる企画もあります。
社内での注目度は高く、WINへの参加メンバーはこの2年で倍以上になりました。女性メンバーが多いものの、それをサポートしたい男性メンバーも増えて活躍しています。そういう意味でも、WINの活動は社内での関心を高めているように感じます」

   ――アメックスは2020年、国際女性デーにあわせて、女性に限らず、社員全員がそれぞれのアンビション(向上心)を持って、仕事やプライベートに取り組める環境を整えていく、社内コミットメント「アンビション・プロジェクト」を打ち出しました。どのような取り組みでしょうか。

水村さん「自分のキャリアやプライベートに『向上心を持つ』というのが私たちの考える『アンビション』です。そのためには、性別、立場、年齢関係なく、すべての社員がアンビションを持てる環境を会社として整えていく――そのために掲げたプロジェクトです。
   これを個人の行動に落とし込んだ場合、まずは自分のアンビションを考えることから始まります。必ずしもキャリアだけでなく、人によっては家族、社会貢献活動など、さまざまなアンビションがあるでしょう。人生のステージによっても変化すると思います。
   ここでとくに大事なのは、それぞれの人の『自分はこうしたい、こうなりたい』というアンビションを、社内で素直に発信できる環境であること。また、それぞれの人のアンビションを周囲も理解して、応援していくカルチャーをつくりたい――プロジェクトにはそんな狙いがあります。たとえば女性の場合、『こういうポジションにつきたい』といったアンビションを口に出すことがはばかられるところがあるかと思います。そうではなく、誰もがきちんと発信し、周囲は受け入れて、お互い高め合っていくことが大切ではないでしょうか。具体的な活動としては、啓発活動(イベント、パネルディスカッションなど)やリーダーによる発信があり、みなさんがアンビションを考えるきっかけとなる場を設けています。
   関連する話として、『Self‐ID』という取り組みも始まりました。これは、人事のシステム上で、自身のジェンダー・アイデンティティ(性自認)などを入力できるという仕組みです。入力した情報の公開範囲は自分で決めることができます。開示する場合も機密情報をして扱われ、限られた人しかアクセスできません。この取り組みを通じて、『ありのままの自分』で仕事ができ、活躍できる社内環境づくりを目指しています」

   ――最後にあらためて、アメックスがDE&Iに真摯に取り組むのはどうしてでしょうか。

水村さん「アメックスは創業170年以上、日本でも100年以上の歴史ある会社です。長きにわたって私たちは一貫して、各種サービスを通じて、お客様に安全、安心、信頼を届けてきました。そうした信頼のサービスを提供するためにこそ、社員をバックアップする必要がありますし、会社と社員だけがよければよいのではなく、コミュニティーに対しても向き合うことが大事だと信じています。
   そういう意味でも、さきほど少し触れたように、社内で『自分がこうありたい』と言える環境をつくり、引き続き会社と社員の双方向のコミュニケーションを大事にしたいと思います。
   また、現在、アメックスの女性管理職は30%です。日本国内では高い数字かもしれませんが、社員の半分は女性であることを踏まえれば、ぜひ50%に近づけていきたい。まだやるべきことは多いと思います。今回の『働きがいのある会社』選出のフィードバックも見返しつつ、今後さらによくしていくには何をしなければいけないか考え続け、実行していけたらと考えています」

   ――ありがとうございました。

(会社ウォッチ編集部)

水野 矩美加(みずの・くみか)
水野 矩美加(みずの・くみか)
アパレル、コンサルタント会社を経てキャリアデザインをはじめとする人材教育に携わる。多くの研修を行う中で働き方、外見演出、話し方などの自己表現方法がコミュニケーションに与える影響に関心を持ち探求。2017年から、ライター活動もスタート。個人のキャリア、女性活躍、ダイバーシティに関わる内容をテーマに扱っている。
戸川 明美(とがわ・あけみ)
戸川 明美(とがわ・あけみ)
10数年の金融機関OLの経験を経て、2015年からフリーライター、翻訳業をスタート。企業への取材&ライティングを多く行う中で、女性活躍やダイバーシティの推進、働き方の取り組みに興味をもつ。
姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中