2024年 4月 27日 (土)

大学卒業式「心に響く学長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【2:とらわれない視点編】

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「負ける」からこそフロンティアが広がる

大阪大学 西尾章治郎総長(公式サイト:総長からのごあいさつより)
大阪大学 西尾章治郎総長(公式サイト:総長からのごあいさつより)

   京都精華大学のウスビ・サコ学長をはじめ、今年は「多様性」という言葉を盛り込む学長・総長が目立った。大阪大学の西尾章治郎総長は、生き物の世界から人々の多様性をわかりやすく例えた。

「生物学者で2025年大阪・関西万博のプロデューサを務める福岡伸一氏は、生態系が長い年月をかけて多様性を作り上げるにあたり、『重要なのは、負けること』と説明しています。一度負けることによって、その種は新しい選択をせざるを得なくなります」
「たとえば、昼間は狙われるから夜に活動する。地上では食べるものがないから木の上で生活する。このようにして、『負けたこと』を契機に、少しずつ自分の居場所を他とは異なるフロンティアに求め、それが種を確立し、結果として豊かな多様性を作るというのです」
「この『負けること』を恐れず、そこから新しい居場所を作っていこうという心構え。あるいは、周囲に合わせることが辛くなったときに、そこから少し距離をとって行動すること。これらのことが、これからを生きる皆さんに必要なのではないか。私はそう思うのです」

   そして、西尾総長は卒業生にこう呼びかけた。

「あなた達が、もし競争に負けたとしても、あるいは大きな失敗をしたとしても、『負けたら終わり』『失敗したら終わり』などということは、決して考えないでほしい。そんな時こそ、あなた方は、フロンティアを確立する絶好のチャンスを手にしたと考えていただきたいのです」

   西尾総長は最後に、詩人の石垣りんの「表札」という詩をひいて、卒業生へのプレゼントとした。

「『自分の住むところには 自分で表札を出すにかぎる』で始まるこの詩の終わりには『精神の在り場所も ハタから表札をかけられてはならない』とあります。何のレッテルも、肩書も、同調圧力も、他者の目も関係ない、本当の『あなた』の色は、明日はどんな色となって輝くのでしょうか」
「自分が、住みにくい社会にいると感じたとき、それに耐えるのではなく、『やれやれ、住みにくい世の中だ』とつぶやいてから、目の前の一つひとつの『住みにくさ』を確実に拾い上げ、取り除いていく。(中略)そんなあなたの後ろ姿に、勇気づけられる人が多くいるでしょう。私たちは、そんなあなたに、力強いエールを送ります」

(福田和郎)

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