2022年 7月 2日 (土)

ロシア国債「デフォルト」へのカウントダウン進む ロシア経済を犠牲に...ウクライナ侵攻の大きすぎる代償

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   ロシアが、1998年の「ロシア危機」以来となる、国債のデフォルト(債務不履行)リスクにさらされている。ロシア政府はデフォルト回避に躍起だが、厳しい状況を脱するのは難しそうだ。

  • ロシア国債のデフォルトは時間の問題なのか(写真はイメージ)
    ロシア国債のデフォルトは時間の問題なのか(写真はイメージ)
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ドル建て国債の利払いが苦しい理由

「ドル建てのロシア国債の利息払いを完了した」

   ロシア財務省は2022年3月17日、前日16日が期限だったドル建て国債の利息計1億1700万ドル(約150億円)の支払いを予定通り終えたと発表した。22日には6600億ドルの利払い完了も発表。デフォルト危機をひとまず回避したかっこうだ。

   だが、先行きはあまりに険しい。

   ロシア政府が発行する国債はロシア通貨のルーブル建てだけでなく、機関投資家の需要が高いドル建てが多い。ドル建て債の利払いは原則、ドルで支払う必要があるが、現在のロシアにとってはこれが大きなハードルとなっているためだ。

   背景にあるのが、ウクライナ侵攻に伴う欧米の経済制裁だ。

   ロシアは98年のロシア危機を教訓に世界経済の変動リスクに対応するため、ドル建ての外貨準備を積み上げてきたが、庫内のウクライナ侵攻を受けた欧米の経済制裁で中央銀行の資産が凍結され、6300億ドル(約80兆円)の外貨準備を引き出せない状況に陥っている。

   利払いの原資に充てるはずだった「虎の子」の外貨準備が封じられる中、ロシア政府は今回、海外の銀行に預金しているドルなどを何とかかき集め、しのいだとみられている。

   ただし、正念場はむしろこれからだ。米モルガン・スタンレーによると、元本と利息を合わせて3月31日には4億4700万ドル、4月4日には21億2900万ドル(元本20億ドルと金利)の支払いが控えている。デフォルトが回避できるかは、いつまでドルを集め続けられるかにかかっている。

ルーブル支払いは「デフォルトとみなす」

   もちろん、ロシアも手をこまねていたわけではない。

   プーチン大統領は3月5日、日米欧などの「非友好国」に対し、ルーブルでの債務返済を認める大統領令に署名した。ロシア政府も、ドルによる国債の利払いが難しくなれば、ルーブルでの支払いに切り替える可能性があると警告している。「ルーブル払いが嫌なら、外貨準備を使わせろ」と脅しをかけたのだ。

   29日には、4月4日償還の元本20億ドルの国債について、ルーブルで期限前に買い戻すと発表した。

   しかし、金融市場の対応は冷淡だった。欧米の大手格付け会社は、ロシア政府が一方的に支払い通貨をルーブルに切り替えた場合、「デフォルトとみなす」と警告している。

   ロシアがここまでデフォルトを恐れるのは、その国を代表する金融商品ともいえる国債に対する市場の信頼が失われれば、政府に加え、ロシア企業の資金調達も難しくなりかねないからだ。

   実際、ロシア国債のデフォルト懸念を受け、欧米の金融機関はロシア企業の社債取引から手をひき始めており、ロシア企業の社債デフォルトが相次ぐ可能性を招く事態に陥っている。

   デフォルトによる後遺症も計り知れない。

   一度デフォルトした国が国際金融市場に復帰するには、痛みを伴う国内改革を含む膨大な労力と、長い時間が必要になる。仮に、ウクライナ情勢が一服して、欧米から経済制裁緩和を引き出しても、デフォルトによるダメージからの回復はイバラの道だ。

   ロシアの外貨建て国債の残高は約200億ドルとも言われる。外貨準備が使えない限り、「ロシア国債のデフォルトは時間の問題」(アナリスト)というのがマーケットの見方だ。

   ロシア経済を犠牲にしたプーチン大統領の「賭け」は、大きな代償を払わされる厳しい結果に終わりそうだ。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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