2024年 4月 26日 (金)

「100円ショップ」は生き残れるか! 円安で東南アジア仕入れ先「黄色信号」、無印・ドラッグストアとの激しい競争(1)

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   近頃、「100均マニア」と呼ばれる人が増えている。何を買うにもまず「100円ショップをのぞいてから」という人のことだ。

   そんな「100均マニア」に嬉しいリポートが届いた。帝国データバンクが2022年4月2日に発表した「『100円ショップ』業界動向調査」という報告書だ。見出しには、「好調『100均』市場規模1兆円へ 大手4社の店舗はコロナ前から800店増加」とあり、順調に業績を伸ばしているようだ。

   ところがどっこい、円安と原油高のダブルパンチを受け、瀬戸際に追い込まれているという。「100均マニア」としては気が気でないだろう。調査をまとめた担当者に話を聞いた。

  • ショッピングセンターのワンフロアの半分近くを占めるダイソーの広々とした店舗(千葉県八千代市、2022年4月14日撮影)
    ショッピングセンターのワンフロアの半分近くを占めるダイソーの広々とした店舗(千葉県八千代市、2022年4月14日撮影)
  • ショッピングセンターのワンフロアの半分近くを占めるダイソーの広々とした店舗(千葉県八千代市、2022年4月14日撮影)

市場規模は1兆円へ、売上も10年前より1.6倍だが...

   調査は、100円ショップの大手5社を対象に行われた。ダイソー、セリア、キャンドゥ、ワッツ、音通の5社だが、音通は2021年10月に100円ショップ部門をワッツに譲渡しており、現在は大手4社体制だ。

   それによると、100ショップ市場が伸びている。大手5社を中心とした国内100円ショップ市場(事業者売上高ベース)は、2021年度は前年から約500億円増加の9500億円(5.8%増)となる見込みだ。2010年の約6000億円に比べると、約1.6倍の伸びだ=図表1参照

(図表1)100円ショップ市場店舗数の推移(帝国データバンクの作成)
(図表1)100円ショップ市場店舗数の推移(帝国データバンクの作成)

   当初は前年同月の売り上げ水準を下回る店舗も一部みられ、コロナ禍の巣ごもり特需からの反動による減少も懸念された。しかし、コロナ禍で増えた衛生用品などが引き続き需要を確保できた。それに加え、独自商品や高機能商品など、付加価値を高めた100円以外の価格帯の商品導入が各社で進み、マイナスをカバーできたことが大きい。

   近年はインターネットやコンビニ店舗など販売チャネルの多様化も進んだ。また、クオリティやデザインの見直し、最新のトレンドや細かな需要変化をとらえた新商品の投入など、価格以外の商品訴求力も大幅に向上した。このペースで進むと、早ければ2022年度にも市場規模が1兆円を突破する可能性がある。

   また、積極的な店舗展開も業績を押し上げる要因となった。現在の大手4社の店舗数は、コロナ前の2019年度末時点で7687店だったのに対し、2022年2月末時点では約8400店(6.4%増)と、2年間で約800店舗も増加した。各社とも強気に年間100店超の新規出店を続けており、早ければ2025年度にも1万店を突破するとみられる。

   一方、お客の購買額も順調に伸びている。100円ショップの1人当たり購買額を推定すると、2021年度(1月まで)は平均で月間635円と推計され、前年を35円上回った。10年前の2011年度は390円だったから、10年で1.6倍に増加したことになる=図表2参照

(図表2)100円ショップの一人当たりの消費額(帝国データバンクの作成)
(図表2)100円ショップの一人当たりの消費額(帝国データバンクの作成)

   このように、100円ショップが順調に業績を伸ばしているのはなぜか。総務省の家計消費状況調査によれば、食器やタオルなどの家事雑貨、ティッシュなどの衛生消耗品の21年度消費は、前年に比べ、やや減少した。コロナ禍の初年となった2020年度のような巣ごもり需要は落ちつきを見せたからだ。

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