バイクメーカー4社&エネオス、電動バイクの「バッテリー交換」ステーション設立へ 充電の手間&充電切れ不安解消...普及への期待度は?

そもそも電動二輪車はどれくらい走れるのか?

   では、実際の航続距離はどうか――。ホンダの電動ビジネススクーター「BENLY e: I(ベンリィ e: I)」の場合、「ホンダ・モバイルパワーパックe:」を2個搭載し、満充電で87キロ走るという。

   ただし、この値は時速30キロの定地走行テスト値なので、注意が必要だ。これが時速60キロの定地走行テスト値となると、満充電当たりの航続距離は43キロとなる。メーカー希望小売り価格は36万3000円で、ガソリンエンジンのベンリィ110の28万6000円を上回る。

   一方、ヤマハが現在発売している唯一の電動スクーター「E-Vino」は満充電当たりの航続距離が29キロ(時速30キロの定地走行テスト値)で、希望小売り価格は25万9600円。ヤマハは重さ6キロの脱着式リチウムイオン電池を採用し、とりはずして自宅で充電することを想定している。

   残念ながら、現状の電動二輪車の実力は、この程度。このため、国内で最も電動バイクに注力するホンダでも、電動バイクは近距離を走る新聞配達用など、法人向け販売が中心となっている。 これ以上の航続距離を目指す電動バイクとしては、ヤマハが満充電で104キロ(時速60キロの定地走行テスト値)走る電動スクーター「E01(イーゼロワン)」を2022年3月に発表。7月から日本、欧州、アジアの各市場で市販に向けた実証実験を行うことになっている。

   ヤマハはE01について「原付二種クラス(ガソリンエンジンなら125cc以下)のスクーターとして、通勤など短・中距離移動に適したコミューター」と説明する。

   ただし、E01の電池は脱着式ではなく、車体への固定式だ。容量4.9kWhのリチウムイオン電池を搭載し、急速充電にも対応する。ヤマハはE01を「顧客ニーズの把握や周辺ビジネスの探求、新たな市場開拓などの実証実験用として、事業所、自治体、官公庁などに向けて導入する」と説明している。

   日本では2022年7月から100台を月額2万円で3か月間、一般にもリースする予定で、5月9日から参加者を募ることになっている。果たして、これだけの費用を負担し、実証実験に参加するライダーがどれだけいるのだろうか。

   現実の電動二輪車には航続距離にこのような制約があるためか、スズキとカワサキは、今のところ電動バイクを市販する動きがない。

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