2024年 4月 23日 (火)

「経済安保法」で中国・ロシアに勝てるのか? 専門家が2つの「弱点」指摘...「情報保護の甘さ」「自由経済の強み失う」

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資源やモノに焦点置かれ、データ保護の項目ない

   しかし、日本にセキュリティ・クリアランス制度がないため、国際学会に出られない研究者も少なくないのが現状だという。

   ヤフーニュースのヤフコメ欄で、拓殖大学国際学部の佐藤丙午教授(安全保障)はこう述べている。

「日本にセキュリティ・クリアランス制度が『限定的』にしか導入されていないことは、日本の研究者が国際共同研究などに参加する際の大きな障害になっていた。(中略)共同研究などを行う場合にクリアランスのレベルを聞かれることがあり、『持っていない』と答えると、ビックリされ、その後共同研究の話が立ち消えになることも珍しくなかった」
「人権問題と絡めて批判する意見も多いが、その状況を諸外国の研究者に説明すると必ず、日本はクリアランス制度を誤解している、と言われる。クリアランス制度は、安全保障上の機微な情報(技術情報を含む)の特定と、その保護措置、そしてそれに対するアクセス権のレベルの設定、の3段階ある。アクセス権の希望は研究者等の意思次第であり、無理に求める必要はないのである」
経済安全保障法の弱点はサイバー攻撃からどう守るか(写真はイメージ)
経済安全保障法の弱点はサイバー攻撃からどう守るか(写真はイメージ)

   今回の経済安保法の弱点の1つは、クリアランス制度の見送りを含めた情報保護の面だと専門家は指摘する。日本経済新聞(5月12日付)の取材に応じた日本大学の小谷賢教授(国際政治)は

「(今回入らなかったセキュリティ・クリアランスについて)民間企業でも導入の是非を巡り足並みがそろわない。ウクライナの状況を見ても情報インフラの確保は重要だ。企業の理解を進めるためにも国が主導する必要がある」

と指摘している。

   同じく日本経済新聞(5月12日付)の取材に応じた慶応義塾大学の土屋大洋教授(サイバー・セキュリティ)もこう語った。

「今回成立した経済安保法は資源やモノに焦点が置かれており、データ保護の項目がない。国際競争が激しくなるなか、データは本当の戦略物資になる。産業ノウハウなどの替えが効かないものをサイバー攻撃から守る仕組みの構築を課題に据えてほしい」
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