2024年 4月 26日 (金)

なぜBTSは成功し、K-POPは世界を席巻したか?

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最初から世界基準めざす

   2019年7月1日から2020年6月30日までの1年間、全世界でつぶやかれたK-POP関連ツイートは61億ツイートにのぼるという。ユーザーが多い国の1位がアメリカ、2位が日本、3位が韓国だった。

   韓国は内需市場の規模が小さいため海外進出が不可欠と考え、レベルを世界基準に合わせてアイドルの実力(歌やダンスなど)を平均的に底上げしてきたという。アイドルを企画し、練習生を採り、トレーニングする時点からグルーバル市場を目指しているのだ。

   海外で通用するレベルまでコンテンツの質を上げるには時間がかかる。大手プロダクションの平均トレーニング期間は、3~5年で、長いと7年も練習生生活を送るケースもあるという。

   それを支えるため、大規模な資本が必要だ。国内外の大企業、音源とアルバムを流通させるプラットフォームを持つ企業、まれに個人の目標と趣味のために投資を行う個人投資家もいるそうだ。

   でが、プロダクションはどこで稼いでいるのか。韓国の四大総合エンターテインメント企業の事業部門別の売上比率を示し、アルバム、公演、マネージメント、コンテンツライセンスに基づくグッズや映像コンテンツの売上が4つの柱であることを示している。

   最も大きな比重を占めるのが、アルバム関連ビジネスだ。

   デジタル音源が中心になっているが、韓国ではアルバム市場が持続的に成長している。

「韓国では音楽を鑑賞するときにCDで聴くことはほとんどないにもかかわらず、アルバムの販売量は毎年増えるという不思議な現象が起こっている」

   なぜなのか。これは、「アルバムは音楽を聴くために買うものではなく、忠誠度の高いファンダムが所蔵価値のために買う製品」という説明が面白い。

   ファンあってこそのアーティストだから、ファンマーケターについても詳しく書いている。

   アーティストの記念日を祝うパーティー、誕生日のイベント、音楽番組に来てくれたファンを招待したイベントなどを企画、実施。ファンとオンラインまたはオフラインでコミュニケーションを取るさまざまなコンテンツ配信を365日行っているという。その姿勢は「売る」のではなく、「知ってもらう」ことだ、とも書いている。

   もちろん、日本のプロダクションも同様のことは行っているだろうが、こうした徹底ぶりが韓国の特徴ではないだろうか。こうして形成されたファンダムの強固さがK-POPの隆盛につながっているのだろう。

   日本の若者の間にもK-POPは深く浸透し、「K-POPで学ぶ韓国語」といった本が出るほどの人気ぶりだ。ユン・ソンニョル大統領が就任し、日本との関係改善に意欲を見せている。

   ちなみに、本書の末尾には韓国のエンタメ業界に就職するためのノウハウも載っている。日本の若者がK-POPを支える人材になる日も近いかもしれない。K-POPファンや日本のエンタメ業界で働く人に一読をススめたい。

(渡辺淳悦)

「BIGHIT K-POPの世界戦略を解き明かす5つのシグナル」
ユン・ソンミ著、原田いず訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
1870円(税込)

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