2024年 4月 26日 (金)

岸田首相の「新しい資本主義」実行計画、「アベノミクス回帰」の評価もっぱら 格差是正、「分配」重視はどこへ?

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参院選で勝ったら、岸田カラーは発揮されるか?

   今回の実行計画は、閣議決定に先立って5月31日の政府の「新しい資本主義実現会議」で実質的に決まった。

   大手紙は、6月7日の閣議決定の際は、骨太の方針、特に防衛費増強などを大きく扱い、新しい資本主義については「実現会議」での決定を受け6月1日朝刊で大きく報じた。

   ここで、各紙が一斉に指摘したのが「格差是正の後退」だ。

   与党支持の論調が目立つ産経新聞が「『分配』後退『投資』前面/アベノミクス追従 市場は安堵」(3面)、読売新聞も「成長力底上げ重視/分配戦略 影ひそめ」(3面)などの見出しを掲げたほど。

   他紙も、「新しい資本主義 変質/安倍・菅政権と差別化 『分配』は――成長に重点」(朝日新聞3面)、「分配かすみ成長回帰」(毎日新聞3面)、「『資産所得倍増』に転換/格差是正 かけ離れ」(東京新聞3面)といった具合だ。

   社説でも各紙論じている。

   たとえば、産経新聞の「主張」は

「より抜本的に格差是正を図るには、高所得層への富の偏在を抑制できるよう、税制などを通じた所得の再分配を併せて講じる必要があろう。岸田政権はそこまで踏み込もうとはしない。......これで『新しい資本主義』といえるのか。看板ばかりが先行するようでは国民の理解は得られないと厳しく認識しなくてはならない」

と、異例ともいえる書きぶりだ。

   唯一、日本経済新聞だけは、金融市場を代弁する形で、

「分配政策に偏重しがちだった岸田政権が経済の底上げを重視し、競争力を高める投資を促す方針を出したことは一定の評価ができる。......分配の原資となる成長の実現を優先する姿勢は正しい」

と、評価したのが目立った。

   岸田首相の姿勢について、「いまは安倍氏に恭順の意を示し、参院選で勝ったら、岸田カラーを発揮していこうということではないか」(政界筋)との分析もあるが、格差是正にどこまで取り組むのか。

   逆に、「金融所得課税への市場の警戒心はなお根強い」(市場関係者)とも言われ、かじ取りは予断を許さない。(ジャーナリスト 岸井雄作)

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