2024年 4月 19日 (金)

米国で「1ドルショップ」値上げ!? 歴史的円安で海外メディア注目...日本の「100-yen shop」の忍耐力(井津川倫子)

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   歴史的な円安水準となるなか、「100円ショップ」が岐路を迎えています。商品の多くを海外で作って「輸入」しているビジネスモデルがもろに円安や原材料高の影響を受けて、経営を圧迫しているなどと報じられています。

   インフレが止まらない米国では、「1ドルショップ」の看板を下して値上げに踏み切る動きが...。果たして日本の「100-yen shop」は、この円安と原材料高のダブルパンチに耐えられるのか。海外主要メディアも大注目です。

  • 米国の「1ドルショップ」は値上げに(写真はイメージ)
    米国の「1ドルショップ」は値上げに(写真はイメージ)
  • 米国の「1ドルショップ」は値上げに(写真はイメージ)

海外も注目「弱い円」で日本の「100円ショップ」どうなる?!

   長きにわたり「デフレの象徴」とされてきた「100円ショップ」。年々品揃えが豊富になって、「えっ、こんなものまで100円で売っているの?」とうれしい驚きを提供していましたが、コロナ禍での節約志向を背景に順調に成長を続けて、2021年度の国内市場は前年度比5.8%増加の9500億円にまで拡大していたそうです(帝国データバンク)!

   一大産業となった「100円ショップ」ですが、ここにきて、原材料の値上げや為替相場の影響で、厳しい防衛戦にさらされていると各国メディアが報じています。

Weak Japanese yen threatens 100-yen shops
(円安が日本の100円ショップを脅かしている:米ブルームバーグ通信)

Japan's largest 100-yen discount store Daiso besieged by sinking yen
(日本最大の100円ショップダイソーが、沈む円によって八方ふさがりになっている:英フィナンシャル・タイムズ紙)

   まず注目したいのは、「円安」の表現です。ブルームバーグは「weak yen」(弱い円)を使っていますが、フィナンシャル・タイムズ紙は「sinking yen」(沈む円)としています。「円安」ですから、つい「cheap yen」(安い円)をイメージしそうですが、じつは「cheap yen」(安い円)はあまり使われません。

   一番よく使われるのは「weak yen」ですので、「円安はweak yen」と覚えておきましょう。

   それにしても、国際的な経済紙であるフィナンシャル・タイムズ紙までが「100円ショップ」に注目しているのは驚きです。海外から見たら、わずか100円で良質な商品が手に入る「100円ショップ」は、デフレを生き抜く日本経済の象徴だったということでしょう。

   「100円」を維持するために海外生産を増やすなど、さまざまな経営努力をしてきた「100円ショップ」も、今回ばかりはどこまで耐えきれるのか...。ブルームバーグは、大きさを変えたり数量を減らしたりして、「販売価格を100円から変更しない」企業努力を紹介しつつも、「もはや我慢比べだ(100円ショップオーナー)」といった企業側のホンネも掲載していました。

   円安と材料高に、さらに追い打ちをかけるような輸送コスト増。フィナンシャル・タイムズ紙が分析するように「besieged(八方ふさがり)」といった状況なのでしょうか。海外メディアの記事を読んで、私たちの生活を支えてくれている「100円ショップ」の戦いをますます応援したい気持ちになりました。

米国版「100円ショップ」、値上げで1ドル25セントに!

   「100円ショップ」のような均一価格で商品を提供するビジネスは、各国に存在します。米国では「1ドルショップ」がその代表格です。なんと、「1ドルショップ」の運営会社、ダラー・ツリー社では値上げを決め、35年ぶりに「1ドル」の看板を下ろすと発表して話題になりました。

Dollar Tree raises prices to 1.25 dollars
(ダラー・ツリー社は、価格を1.25ドルに値上げする:米メディア)

Dollar Tree is ditching 1 dollar forever
(ダラー・ツリー社は、永遠に1ドルを捨てた:CNN)

   ダラー・ツリー社は、日本の「100円ショップ」にあたる「1ドルショップ」をチェーン展開してきましたが、2021年末に商品価格を1ドル25セントに値上げすると発表して話題になっていました。

   35年間にわたり「1ドル」を守ってきたダラー・ツリー社。ITバブル崩壊もリーマンショックも乗り越えてきた「1ドルショップ」が、今回ばかりは早々に白旗を揚げて、値上げしたことに批判的な報道もありました。

   それでも、CNNが「1ドルを永遠に捨てた」と報じているように、同社が「一時的な値上げではない」と宣言していることから、「1ドルショップ」は永遠に戻ってこないのかもしれません。

   海外の仲間が次々と白旗を揚げるなか、日本の「100 yen shop」はどこまで「100円」の聖域を死守できるのか......。海外メディアが「100 yen shop」に注目する理由はそこにあるようです。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「weak yen」(円安)に関連する表現を紹介します。

Japanese yen is weak against US dollar
(日本円は米国ドルに対して円安だ)

Japanese yen is strong against US dollar
(日本円は米国ドルに対して円高だ)
※「円安」の反対の「円高」は「strong」を使います

Weak yen harms economy
(円安が経済に打撃を与えている)

   報道によると、国内でもすでに店じまいをする「100円ショップ」が増えているとのこと。何とか「100円」を維持してもらいたい気持ちはありますが、これまで私たちの生活を支えてくれた努力に感謝して、健全な価格戦略で息の長い経営を実現してほしいものです。

(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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