黒田総裁、聞こえます? 厳しい暮らし 値上げに価格転嫁できず、「運輸・倉庫」はわずか2割【馬医金満のマネー通信】

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   みなさん、こんにちは。馬医金満です。

   原油価格の高騰や円安進行を背景に、食品をはじめとするモノやサービス価格の上昇に歯止めがかかりません。夏には「値上げラッシュ」を迎え、10月にはビールや炭酸飲料などの値上げが控えており、信用情報の帝国データバンクの調べによると、食品だけでも年内の値上げ品目数は1万を超えることがわかっています。値上げ率は平均で13%にものぼるそうです。

  • 生活は厳しくなるばかり……
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仕入れ100円上昇の場合、価格転嫁率は44.3円

   2022年6月6日、日本銀行の黒田東彦総裁は「家計の値上げ許容度も高まってきている」などと発言。メディアなどに叩かれたことから、翌7日の夕方には「誤解を招き、表現が適切ではなかった」と陳謝しました。

   とはいえ、だからといって現行の円安相場は落ち着くどころか、24年ぶりの1ドル=135円台を記録するなど、下落する一方です。さらに、米国が27年7か月ぶりの上げ幅となる0.75%もの利上げを決めるなか、日銀は17日、18日の金融政策決定会合で、金融緩和策の継続を決めました。これでは価格上昇が止まるわけがありません。

   そうしたなか、帝国データバンクが8日に発表した6月の企業の価格転嫁の動向アンケートの結果によると、自社の主な商品・サービスにおいて、仕入れコストの上昇分を販売価格やサービス料金に「多少なりとも転嫁できている」企業は73.3%となっています。一方で、「まったく価格転嫁できていない」企業は15.3%でした。

   また、「価格転嫁をしたい」と考えている企業で、コストの上昇分に対する販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は44.3%と半分以下にとどまりました。これは仕入れコストが100円上昇した場合に44.3円しか販売価格に反映できていないことを示しています。

   もう少し詳しくみると、業種別の価格転嫁率では「建材・家具、窯業・土石製品卸売」は64.5%で、全体(44.3%)を20.2ポイント上回っています。また数値が大きい、価格転嫁できている業界をみると、「機械・器具卸売」が55.4%、「飲食料品卸売」は51.6%となっています。

   しかし、一般貨物自動車運送などを含む「運輸・倉庫」の価格転嫁率は19.9%にとどまり、全体を24.4ポイント下回りました。また、小麦価格や輸送費などの上昇に直面している「飲食料品・飼料製造」も33.6%と、転嫁率が比較的低くなっています。

   これらのデータが示してるように、現時点ではさらにいろいろなモノやサービスが価格上昇していくことが見込まれます。

   しかし、ウクライナ危機や、資源高や穀物高、円安が進行するなか、賃金は伸びず、実質的な収入は下がる一方となっています。これは日本全体の大きな構造問題といえそうです。

   そうした中で、個人でできる「防衛手段」は、たとえば外貨建ての資産をつくっていくことでしょうか。このまま物価高が進み、賃金(収入)は増えていかないとなると、暮らしは楽ではありません。生活費の使い道や資産形成、運用と、いろいろと考えていく必要がありそうです。

(馬医金満)

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