2024年 4月 26日 (金)

企業が政府に求める経済政策「ビッグ3」―3位「個人消費拡大」、2位「中小企業支援」、1位はやっぱり...岸田政権「聞く耳」あるか?

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   ウクライナ戦争や円安の加速を背景にした物価の上昇に追い討ちをかけるように、「第7波到来か」とばかりに新型コロナの感染が急拡大。また、個人消費は低迷し、人出不足も再燃しつつある......。

   企業を取り巻く環境は厳しさが増す一方だ。そんななか、政府が打ち出す経済政策の重要性が高まっているが、帝国データバンクは2022年7月6日、「企業が政府に求める経済関連政策のアンケート調査」を発表した。

   いったい、企業は何を求めているのか。そして岸田文雄政権はシッカリその声を「聞く耳」を持っているのだろうか。

  • 企業の切実な声を「聞く耳」が求められている岸田文雄首相
    企業の切実な声を「聞く耳」が求められている岸田文雄首相
  • 企業の切実な声を「聞く耳」が求められている岸田文雄首相

企業の切実な声...トップは「物価高対策」

   帝国データバンクの調査ではまず、政府に求める経済関連政策を聞くと(複数回答)、「物価高対策」(事業者への資金繰り支援やガソリン減税・購入費補助など)が50.8%でトップに。次いで「中小企業向け支援策の拡充」(50.4%)、「個人消費の拡大策」(43.1%)が続いた=図表1参照

(図表1)政府に求める経済関連政策上位3項目(帝国データバンクの作成)
(図表1)政府に求める経済関連政策上位3項目(帝国データバンクの作成)

   企業規模別にみると、大企業では「物価高対策」が56.1%でトップとなり、次いで「安定的な電力供給に向けた対策」が49.4%で続いた。一方、中小企業では「中小企業向け支援策の拡充」が53.8%で最も高く、「物価高対策」も半数(50.0%)となっている。また、3番目に割合が高い政策は大企業、中小企業ともに「個人消費の拡大策」だった=図表2参照

(図表2)政府に求める経済関連政策上位10項目(帝国データバンクの作成)
(図表2)政府に求める経済関連政策上位10項目(帝国データバンクの作成)

   業界別でみると、すべての業界で「物価高対策」が上位3項目にランクインしていることが際立っている。とくに、原油価格の高騰により大きい影響を受けている『運輸・倉庫』では、「物価高対策」を求める企業が72.7%にのぼり、全体(50.8%)を21.9 ポイント上回る結果となった=図表3参照

(図表3)業界別政府に求める経済関連政策上位3項目(帝国データバンクの作成)
(図表3)業界別政府に求める経済関連政策上位3項目(帝国データバンクの作成)

   「物価高対策」を強く求める声として、企業からは

「燃料価格の高騰は、企業も国民も負担が増えるため、何とかしてほしい」(コンクリートブロック工事)
「零細企業は、新型コロナの影響で収入が減少したなか、物価高や最低賃金引き上げなどで出費が増加し、資金繰りが回らなくなる状況にある。零細企業のなかには、日本の経済活性化に役立つ商品作りを行っている企業もあり、将来性の観点から特別な支援を検討してほしい」(米菓製造)

などがあげられた。

小売業では、「個人消費の拡大」を求める(写真はイメージ)
小売業では、「個人消費の拡大」を求める(写真はイメージ)

   一方、個人の購買意欲に左右される『小売』では、「個人消費の拡大策」(58.8%)の割合が最も高く、全体(43.1%)より15.7ポイント高かった。また、公共事業の受注が多い『建設』では「公共事業費の増額」(48.8%)の割合が最も高いほか、「人手不足への対応」(43.9%)が4番目に高く、主要7業界のなかでも突出して高い割合となった。『建設』の人手不足問題の深刻さがうかがえる。

   ほかにも、電力消費が大きい『製造』では、「安定的な電力供給に向けた対策」(54.0%)が3位にランクインするなど、業界の特徴により求める経済政策に違いが見られる結果となった。

「小手先の補助や減税ではなく、抜本的な政策に注力を!」

建設業では「人手不足への対応」を求める(写真はイメージ)
建設業では「人手不足への対応」を求める(写真はイメージ)

   全国の企業からはこんな切実な声が寄せられた。

「輸入燃料・原料の高騰に必要な支援は、ガソリン税の減税や小麦の政府受け渡し価格を抑える対策の方が直接的で効果があるのではと感じる」(味噌・醤油卸売)
「現状、半導体に限らず、樹脂製品や鋼材などあらゆる工業製品全般の入手が困難になっている。物が高額、さらには納入時期が安定していない状況で、(消費税の仕入税額控除方式の1つである)『インボイス制度』や『電子帳簿保存法』にともなう新たなシステムの導入と継続利用のための保守料など、今後利益を圧迫する要因があまりにも多い。設備やシステムを継続利用するための資金への優遇措置などを実施してほしい」(金型・同部分品・付属品製造)
「現在の中小企業施策は、申請・利用に手間のかかるものが多く、使い勝手がよくないものがある。簡易かつ迅速に支援いただける施策を期待する」(ガラス工事)
「一部の個人や企業が対象となる支援策ではなく、消費することで還元が得られる政策で全産業、全国民に効果の上がる政策が必要」(スーパーストア)
「小手先の補助や減税ではなく、もっと抜本的な政策に注力してほしい」(建築用金属製品製造)
「人手不足が深刻化している。官公庁の入札参加資格や行政の普段の手続きを紙とハンコではなく、パソコンですべてできるようにし、紙の書類を郵送しないで済むようにしてほしい」(建設機械・鉱山機械整備)
「国内生産力を高め、本来の日本の物づくりを復活させて景気をよくしてもらいたい」(金属製建具工事)

などと、抜本的な対策を期待する声が相次いだ。

「物価高を何とかしてほしい」という声が一番強い(写真はイメージ)
「物価高を何とかしてほしい」という声が一番強い(写真はイメージ)

   帝国データバンクではこうコメントしている。

「物価の上昇がとどまる気配を見せないなかで、実質賃金が上昇しない現状では、消費マインドが冷え込み、企業および家計は厳しい状況が続くことが予想される。また、少子化による労働力の減少や、年金に対する不安など長期的にみても日本経済に対する懸念材料は多い。
政府には経済の回復に向けてのエビデンスに基づく支援策の立案推進に加え、賃上げ環境を整えるための支援策や、生産性の向上、国際競争力強化など中長期の視点から成長戦略を進めることが求められよう」

   調査は2022年7月1日~4日の期間、インターネットを通じて行い、1926社から有効回答を得た。そのうち大企業は255社、中小・小規模企業は1671社だった。

(福田和郎)

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