2024年 4月 27日 (土)

「もったいない。年収700万円の妻が出世を拒否!」妻より収入低いという夫の投稿が炎上...「妻の稼ぎに乗っかる気?」批判殺到、専門家の判断は?(2)

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   「年収700万円の妻が出世を捨てようとしています。どうしたら翻意できるでしょうか」という夫の投稿が炎上している。

   金融機関総合職の有能な妻は、管理職への昇格が期待されていた。しかし、妻は「鬱(うつ)になりたくない」と拒否。それが年収500万円の夫にはもったいない。夫は妻を、自信を失くす「インポスター症候群」と思っているからだ。

   この投稿には「妻の稼ぎに乗っかる気?自分が出世すれば?」と批判が殺到している。夫には共感の余地がないのか、専門家の判断は?

  • 働き過ぎて鬱になるのが怖い(写真はイメージ)
    働き過ぎて鬱になるのが怖い(写真はイメージ)
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「出世を断った女性は、扱いづらい存在になります」

   <「もったいない。年収700万円の妻が出世を拒否!」妻より収入低いという夫の投稿が炎上...「妻の稼ぎに乗っかる気?」批判殺到、専門家の判断は?(1)>の続きです。

   ほかにも、人生、出世だけがすべてではないという男性からも寄せられた。

「還暦前のオヤジです。(中略)知人に大手企業でずっと平社員だったという方がいます。でも子供2人育て上げ、マンション持ちで、退職金で老後資金もちゃんと蓄えています。彼は多趣味な男で、定年退職しても冬はスキー、夏は登山、鉄道が大好きで、死ぬまでに全国の鉄道を制覇することを目標に全国を飛び回っています。私の知人では一番、充実した老後人生を送っています。管理職への出世なんて、興味のない人には魅力ないものなので、周りがいくら言っても無駄だと思います」
出世街道を走ることだけが人生ではない(写真はイメージ)
出世街道を走ることだけが人生ではない(写真はイメージ)

   ごく少数だが、夫が妻の出世を願う気持ちに理解を示す意見もあった。

「奥さん、お若いのかもしれませんが、そのうち上に立つほうが下にいるより楽なことが出てくると思います。上に立つメリットを実感しなければ、頑張る気はしないのではないですか。今はいいけど、だんだん年取ると現場より管理的な役割を担ってしまうのはしょうがないことです。(中略)給料が高くて、仕事内容は新卒と同じでは、勤続年数分の上乗せを払う意義を企業側は感じないのではないですか」
「なぜ投稿者がこんなに叩かれているのか、さっぱりわかりません。会社にもよりますが、インポスター症候群によって出世を断ったため、どんどん会社で扱いづらい人(お局のような)になる女性を何人も見ました。年次も高く仕事もできる人が平社員に留まっていると、組織の風通しも悪くなります。昇進は、現場にいると困る人を現場から離す役割もあるのです」

女性管理職「男性社員からのやっかみにうんざり」

女性管理職になるとやっかみが怖い(写真はイメージ)
女性管理職になるとやっかみが怖い(写真はイメージ)

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の「妻がキャリア(出世)を捨てようとしている」と心配する夫の投稿をめぐる論争について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

――今回の投稿と多くの回答者の意見を読んで、率直にどのような感想を持ちましたか。

川上敬太郎さん「管理職への昇格を拒否する妻のことをもったいないと思う投稿者さんは、昇格や昇給は誰もが望むことだという価値観をお持ちなのかもしれません。一方、回答者のみなさんは、価値観は人によってざまざまであることを踏まえ、冷静な視点からアドバイスされているように感じます」

――背景には、いわゆるバリキャリと呼ばれる女性の中に管理職になりたくない人がけっこう多いことがあげられます。川上さんが研究顧問をされている、働く主婦層の調査機関「しゅふJOB総研」で、働く女性の管理職に対する意識を調べたことがありますか。

川上さん「以前、主婦層を中心とする就労志向の女性に管理職になることを希望するか否かを尋ねたところ、『希望する』と回答した人は5%に留まり、『条件によっては管理職を希望する』と回答した人と合わせても36%でした。一方、『管理職は希望しない』と回答した人は53%と過半数に及びました。

◇管理職について

また、男性と比較して女性管理職が少ない理由について尋ねると、『結婚や出産をすると管理職として続けづらい雰囲気が職場にあるから』と回答した人が最も多く、8割を超えています。
フリーコメントを見ても、『実際に管理職に就いたことがありますが、男性社員からのやっかみや陰口にうんざりしました』『能力が高い女性であっても、責任のある仕事を任せない風潮がある』『出産・育児で職を離れる期間があることを考えると、女性は組織にとらわれず、自分で仕事をするのもよい』といった意見がありました。
かねてから女性は管理職を希望する比率が低いと言われてはいましたが、その背景として職場の雰囲気が少なからず影響しているのだと思います。投稿者さんの妻も、職場の中で同じような雰囲気を感じている可能性は否定できないのではないでしょうか」

夫は本気で妻を「応援したい」と思っている

ちゃんと家事をして奥さんを支えてあげている?(写真はイメージ)
ちゃんと家事をして奥さんを支えてあげている?(写真はイメージ)

――回答者の圧倒的多くは、妻自身が夫に「鬱(うつ)になりたくない」とはっきり理由を説明しているのに、妻に出世を迫るのはおかしい。どう働くかは妻自身が選ぶべきだという主張です。

川上さん「そうした回答者たちのご意見は、もっともだと思います。ただ、夫である投稿者さんとしては、インポスター症候群ではないかと心配しているように、妻が本当の希望を抑え込んでしまっているのではないかと思っているようにもお見受けします。そうであれば、投稿者さんは決して闇雲に妻を出世させようとしているわけではなく、妻を応援したいという気持ちから悩んでいるようにも思います。
昇格の打診を拒否する妻のことをもったいないと思ったりして、一方的にご自身の考えを押しつけるというよりも、妻のことを思いやっていると感じます。もし投稿者さんが一方的に『もっと稼がせたい』などと考えているのであれば、『根性がない』とか『怠けている』というふうに、妻のスタンスを頭ごなしに否定するような見方をするのではないでしょうか。
今回の投稿に当たっても、『あまり何度も問い質したくないので、本人に改めて聞く前に一般的な考え方を伺いたいです』と投稿の意図を書かれています」

   今回の妻のキャリア(出世)に関する話題について、川上さんのアドバイスも熱を帯びました――。<もったいない。年収700万円の妻が出世を拒否!」妻より収入低いという夫の投稿が炎上...「妻の稼ぎに乗っかる気?」批判殺到、専門家の判断は?(3)>にまだまだ続きます。

(福田和郎)

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