「黄金の3年」手にした岸田氏...安倍元総理不在が及ぼす政策への影響とは
2022.07.18 18:45
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いよいよ真価問われる「新しい資本主義」...岸田カラー発揮されるか?
岸田政権の看板政策である「新しい資本主義」の真価を問われるのもこれからだ。
岸田氏は2021年の自民党総裁選などで、アベノミクスによって拡大した格差の是正を打ち出し、「成長と分配の好循環」が必要だと訴えてきた。
「新しい資本主義」の実現に向け、企業に対する賃上げの働きかけや、「最低賃金の全国平均1000円」の早期実現などを目指している。だが、金融所得課税の強化方針を早々に撤回するなど、高所得者の負担増につながる動きは鈍いままだ。株価対策を重視してきた安倍氏に対する配慮が背景にあるとされるが、今後はより踏み込んだ格差対策も可能になる。
「参院選の大勝で、総理はフリーハンドを得た。岸田カラーが発揮されるのはこれからだ」
ある政府関係者はこう期待するが、霞が関には安倍氏の不在が政権にとってマイナスと見る向きも少なくない。経済官庁の幹部は、
「与党内の対立や、難しい政策対応などがあっても、これまでは安倍元総理に頼めば調整に動いてくれた。安倍元総理に代わる人材は見当たらない。岸田政権が本気でアベノミクスの修正に動こうとすれば、自民党内で『反岸田』の動きが公然と広がる可能性もある」
と指摘する。
「『黄金の3年間』などという考え方はまったく持っていない。何十年に一度の大きな課題が重複して目の前にある。これを乗り越えるために命がけで取り組んでいく」
岸田首相は7月11日の会見で厳しい口調でこう語った。自ら楽観を諫めるようなその姿勢からは、一変した政界地図に対する不安も見え隠れする。(ジャーナリスト 白井俊郎)