どの大学も、動くに動けぬ状況が続いている暗号資産バトル。第8節(2022年7月18日週)は、北海道大学の花野直樹さんが「久々に気持ちのいい週だった」と振り返るように、株式市場や暗号資産市場が上昇して、投資のチャンスがめぐってきたかに思えた。ところが、北大の花野さんは学業などが忙しく取引できず。「チャンスを逃してしまったため、悔しい結果となりました」と残念そう。明治大学の城正人さんと東京大学の迫嵩明さんも取引を見送った。仮想通貨の方向感が出た?(北海道大学花野直樹さん)今週(7月18日週)は、仮想通貨に限らず株式市場も上昇して、久々に気持ちのいい週だったと思います。僕が見ているビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)も週初めから週の高値まで10%以上上昇しました。僕のトレードルール的にも「買い」でエントリーするポイントがあったのですが、今週は大学やアルバイトが忙しく、あまり相場を見ることができませんでした。取引することができず、資金は減ってないものの、チャンスを逃してしまったため、悔しい結果となりました。またビットコインは、価格は上がっているのですが、先週の記事に書いたフラッグパターン=下図の青のチャネルライン=を抜けたわけではなく、フラッグの上限に押さえつけられ日足以下の時間足で見てみると上値を切り下げています。したがって、仮想通貨がここからまた安値を掘っていくかというとフラッグの下限を試す必要がありますが、少なくとも上昇は一服かなと見ています。7月25日週からはアメリカ企業の決算の本格化、FOMC(米連邦公開市場委員会)が控えており、株式はかなりボラティリティの高い展開が予想されます。まだまだ仮想通貨は米国株指数と連動しており、ここからまた急落という可能性も考えられます。しかし、上昇の勢いはかなり強く、今週さまざまな悪いニュースが出ても勢いが衰えないところから見ると、フラッグの上限を抜けてしまう可能性も考えて、売りを入れるのも難しい状況にあると思います。まとめると、上にも下にも行くかもしれないので取引は難しいということです。今後のトレード戦略として重要になるのはやはりフラッグの上限を上抜けるか跳ね返されるかという点かと考えるので来週以降それに注目したいと考えています。ここからは少し、今週あったニュースについて紹介したいと思います。米EV大手のテスラが9億3000ドル分のビットコインを売却したというニュースが流れました。相場が荒れそうなニュースですが、意外にも反応しなかったように思います。またビットコインのコールオプションの買いが大きく入ってきているという話もあります。コールオプションの買いは価格が上がると利益が出るもので、それだけ価格上昇に期待がかかっているのかもしれません。これらのニュースは仮想通貨の底堅さを示すのかもしれませんが、上昇していく決定的なものでもないと思うので、今後も情報収集を続けていきたいと思います。前週からの損益 プラス・マイナスゼロ7月22日現在 9754円◆池田昇太のワンポイントアドバイス7月18日週は大きく相場が動きましたね。日足よりも下の時間足で見るとテクニカル的に上昇に向かいそうな様子が見られ、添付されている4時間足チャートでは実際に移動平均線を上回っています。フラッグも有効に機能しており、他のトレーダーからも意識されている価格帯であるように思えます。サポートライン付近でロングを入れたいところですが、上図の時間足(週足など)で見るとまだまだ弱気な相場です。加えて米テスラのビットコイン売却を受け、他の大口投資家が動く可能性も考えられますので、注意したほうが良いでしょう。花野 直樹(はなの・なおき)北海道大学工学部4年北大金融研究会の所属。ふだんはテクニカル分析を使った株式の短期トレードをしています。やるからには1位をとれるよう、頑張ります!イーサリアムの開発状況は「まだ道半ば」!?(明治大学城正人さん)◆今週(7月18日週)の出来事今週はパリのイーサリアムカンファレンスで共同創業者のヴィタリック・ブテリン氏が、イーサリアム(ETH)の今後について語りました。現在のイーサリアムの開発状況は「まだ道半ば」とし、今後TPS10万トランザクション(取引)を実現するまでのロードマップとして5つのキーワード「マージ」「サージ」「ヴァージ」「パージ」「スプラージ」を示しました。秒速10万トランザクションを目指すとはいえ、いかにセキュリティを確保しながら取引の高速化を目指すことが重要です。そこで今回はこの5つのキーワードが何を意味するのか、どのようにセキュリティを確保しながら取引速度を引き上げるのか噛み砕いて説明しようと思います。なお、今回は前半編として1のマージと2のサージを取り上げます!◆今後の展望5段階簡単にイメージできるよう、下の表にまとめてみました。(1)マージ現在のイーサリアム(ETH)ではマイニングによって検証作業を行う「PoW」のコンセンサスアルゴリズムが使われていました。しかし、マイニングには大量の電力を浪費してしまいます。そこでETH2.0では、Casperと呼ばれるPoS方式のコンセンサスアルゴリズムを搭載します。PoSではETHをステーキング(預けること)によって検証作業に参加することができます。不正を働かなければ最大年利22%程度で運用することが可能な一方、不正をしたら没収されてしまうという条件で運用されます。つまり、自分のお金を没収されたくないために不正を働くインセンティブは低くなり、セキュリティが確保されるという仕組みですね。さて、マージの段階で何をするのか。マージではPoWで動いている現在のチェーンとPoSで動くビーコンチェーンを合体させます。こちらは2022年9月の実施を予定しており目前に迫っています。(2)サージ次に「サージ」。サージではイーサリアムに「シャーディング」が導入されます。シャーディングとはブロックチェーンのネットワークを複数に分割すること。例えていうなら、これまで片側1車線の道路を2車線、3車線へと車線の数を増やし、通行できる自動車の数を増やしていくことだと言えるでしょう。イーサリアム上の取引も同じように処理できる取引の件数限界を大きく引き上げることが可能です。しかし、そんなにポコポコチェーンを拡張して安全なの?という疑問は出てくるでしょう。実際には先ほど紹介した「ビーコンチェーン」によって安全は担保されており理論上問題はないと考えます。ただ、やってみなければ何が起きるかわからないのも現実、今後注視して推移を見守る必要があるでしょう。◆まとめ(1)マージと(2)サージについて取り上げてきました。来週は後半の(3)ヴァージ(4)パージ(5)スプラージを取り上げますので、ぜひ来週も覗いてみてくださいね!今週は取引を見送りました。保有残高FCRコイン2400枚(現在1枚0.53円) 評価額1272円ビットコイン0.001枚(現在1枚3,037,000円)評価額3037円現金5752円合計1万61円保有する暗号資産 FCRコインビットコイン前週からの損益 プラス115円7月22日現在 1万61円◆池田昇太のワンポイントアドバイスイーサリアムのロードマップについて、わかりやすく整理されていると感じました。ヴィタリック・ブテリン氏の目指すところまでは、まだまだ遠いですね。イーサリアムの承認アルゴリズムがPoWからPoSに移行する時期も近づいてきており、9月までに期待上げも考えられるでしょう。しかし、イーサリアムも変わらずにビットコインとほぼ似たような値動きをしているため、もしイーサリアムを取引する場合は、ビットコインの動向も追っていく必要がありそうです。城 正人(じょう・まさと)明治大学経営学部2021年に引き続き、出場します!投資対象として仮想通貨に興味を持つも、その技術の持つポテンシャルに惹かれDapp開発に着手。投資家としてだけでなく、開発者としての視点からの投資戦略も立てていきます!Twitter:https://twitter.com/dennoah_jo◆今週も取引を見送りました(東京大学迫嵩明さん)前週からの損益 プラス・マイナスゼロ7月22日現在 1万円迫 嵩明(さこ・たかあき)東京大学文科二類2年学生投資連合USIC代表高校3年生の時に株式投資のおもしろさに目覚める。日本株、米国株、仮想通貨投資を行う。長期的に伸びる市場でビジネスを展開している企業に長期投資することをモットーとしており、テンバガーを虎視眈々と狙っている。金融を学ぶ「おもしろさ」、投資を始める「意義」を多くの人に知ってほしいと切に願う。学生投資連合USIC:https://www.usic2008.org/◆◆アドバイザーのプロフィール池田昇太(いけだ・しょうた)池田昇太(いけだ・しょうた)フリーランスのWebディレクター。金融系メディアを対象に執筆やディレクター業務に従事。投資歴7年。FXと仮想通貨をメインにトレードしています。ファンダメンタル分析よりかはテクニカル分析を好む。最近はNFT(非代替性トークン)の詐欺事例、法的問題について関心あり。大学対抗戦「暗号資産バトル」競技ルール・元本は1万円。・通貨の選定は自由。ただし、国内の事業者で買える暗号資産に限定。・レバレッジはかけられません。・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)とする。・元本割れは1回まで。2回、資産を失った場合は、その時点でリタイアとする。・運用期間は6か月。最終週時点での資産増減額で順位を決める。学生投資連合USIC「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。http://usic2008.com/
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