2024年 3月 19日 (火)

図書館は増え、利用者は減る...いびつな「図書館離れ」 非正規職員は低賃金、課題山積み(鷲尾香一)

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   図書館数は着実に増加しているのに、利用者数が急激に減少している――。文部科学省が2022年7月27日に発表した「令和3年度社会教育調査の中間報告」で明らかになった。

  • 「令和3年度社会教育調査の中間報告」に注目(写真はイメージ)
    「令和3年度社会教育調査の中間報告」に注目(写真はイメージ)
  • 「令和3年度社会教育調査の中間報告」に注目(写真はイメージ)

貸出冊数、右肩下がり...3年前と比べて18.8%減

   同調査はおおむね3年ごとに実施されている。この中で、図書館数は2002年度の2742から2021年度には3400になっていて、658か所(24.0%)増加した=表1

   順調に見える図書館だが、利用者数は大きく減少しており、実態は大きな曲がり角を迎えている。

   2004年度に5万8042人だった一つの図書館当たりの利用者数は、2020年度には4万2304人にまで減少した。実に、1万2558人(22.9%)も利用者が減少したのだ。特に、2020年度は前回(2017年度)から1万1756人(21.7%)もの大幅な減少となった。

   2020年度の大幅減少には、新型コロナウイルスの感染拡大により、一時的に図書館を休館したことや、その後も利用を制限したことなどの影響も大きい。

   だが、2004年度から2020年度の間で増加したのは、2004年度と2010年度の2回だけで、残りの4回の調査では減少している=表2

   この背景には、図書館離れがある。PCや携帯の普及と、これらの媒体で小説や漫画が読めるようなサイトが増加したことで、特に若者層が図書館を利用しなくなっている。

   いまや、図書館は高齢者を中心とした利用に偏っている。毎日、開館と同時に新聞や週刊誌を読みに来る高齢者。日がない一日、図書館の椅子に座って、時間を潰す高齢者は予想以上に多い。

   利用者数の減少は、図書館の貸出冊数にも顕著に表れている。2010年度調査までは増加をたどっていた貸出冊数は、2017年度からは減少に転じた。特に、2020年度は5万3085冊と、2017年度から1万2294冊(18.8%)も減少した=表3

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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