2022年 10月 2日 (日)

増え始めた企業倒産、迫る「ゼロゼロ融資」返済 資源高、円安進行にくわえて「利上げ」あるなら...大量倒産の「引き金」に(鷲尾香一)

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   倒産件数が増加している。新型コロナウイルス対策で実施された実質無利子・無担保融資などの返済が徐々に始まる一方で、企業倒産件数は前年同月比で増加を続けている。さらにこれから、企業倒産は大幅に増加する可能性をはらんでいる。

  • 企業の倒産件数に注目(写真はイメージ)
    企業の倒産件数に注目(写真はイメージ)
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3年間の期限付き「利子免除」...23年春から支払い発生

   新型コロナ対策で政府は、資金繰り支援策として、実質無利子・無担保の融資(ゼロゼロ融資)を打ち出した。ゼロゼロ融資は2020年3月から政府系金融機関でスタート、同年5月からは民間金融機関での取り扱いが加わった。

   日本銀行の貸出・預金動向によると、2020年1月に545兆199億円だった金融機関の貸出残高は、2022年4月には584兆5162億円と約30兆円も増加した。とくに、2020年5月には前月比伸び率が突出して上昇している。これは、民間金融機関でゼロゼロ融資が開始されたことによる=表1

   ゼロゼロ融資は無担保のうえ、最初の3年間は実質金利がゼロで、最長5年まで元本返済が猶予される据え置き期間が設定されている。

   すでに民間金融機関での取り扱いは2021年3月で終了したが、政府系金融機関は2022年9月末まで取り扱いが継続されている。財務省によると、ゼロゼロ融資の残高は2021年末で約42兆円にのぼっている。

   地方銀行関係者は、「政府のお墨付きで、基本的に銀行に貸倒れリスクがないため、通常では融資できないような財務内容の企業に対しても、積極的に融資が行われた」と証言する。

   ゼロゼロ融資は最長5年まで元本返済が猶予されるが、猶予期間を先延ばしすれば、返済が始まってからの負担が大きいため、多くの企業は猶予期間を1~2年に設定している。

   これは、金利ゼロ期間が終了し、政府系金融機関では2023年3月から、民間金融機関では2023年5月から金利が付くため、なるべく金利がゼロのうちに返済をしよう、という動きがでているためだ。

元本返済の猶予「5年間」の企業も多く...返済はどうなるか?

   問題は、新型コロナが再び猛威を振るい、終息が見えない中で、ゼロゼロ融資を受けて経営は改善せず、元本返済の猶予を5年間受けている企業も多いことだ。

   その場合、それでも、政府系金融機関では2025年3月から、民間金融機関では2025年5月から元本返済が開始されることになる。

   大手信用調査会社の東京商工リサーチによると、2019年の企業倒産(負債総額1000万円以上)は件数が8383件(前年比1.7%増)、負債総額は1兆4232億円(同4.1%減)だった。

   ところが、新型コロナ禍の中にあって、2020年は件数が7773件(同7.2%減)、負債総額は1兆2200億円(同14.2%減)と件数、負債総額とも減少した。件数は18年以来、2年ぶりに前年を下回り、8000件を下回ったのは30年ぶりだった

   そして、2021年も件数が6030件(同22.4%減)、負債総額は1兆1507億円(同5.6%減)と件数、負債総額とも減少している。件数は1964年の4212件に次ぐ、57年ぶりの低水準だった。いかにゼロゼロ融資が企業倒産を防いだのかは明らかだろう=表2

   だが、2022年4月以降、企業倒産は増加に転じている。すでに7月まで4か月連続で、倒産件数が前年同月比で増加している。負債総額も6月としては2017年以来、5年ぶりに1兆円台に増加した=表3

   もちろん、企業倒産増加の原因は、ゼロゼロ融資の返済だけではない。

   むしろ、原油・資源高や円安進行による輸入物価高によるところが大きい。しかし、これらの要因によって業績が悪化すれば、結局、ゼロゼロ融資の返済が滞り、倒産という道筋を辿ることになる。

   ゼロゼロ融資の返済は、まだ始まったばかりだ。前述のように、23年春から融資額に金利が付与されることになれば、倒産件数の増加は必至と見てよいだろう。

   しかも、米欧が利上げを進める中で、日銀は大規模金融緩和による低金利政策を継続しているが、いずれ利上げを行う時はやってくる。

   その時、ゼロゼロ融資は大量の企業倒産への「引き金」となるかもしれない。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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