2024年 4月 25日 (木)

話題の「NFT」知ってる人30%、持ってる人3%は多い?少ない? 「ゲーム」「投資」「アニメ」「アート」「メタバース」...300万円以上使う人も!?

   「暗号資産」「メタバース」と並び、「NFT」という言葉をニュースで見ない日がなくなった。

   世界でたった1人、自分だけを記録するデジタルデータだが、新たなビジネスとして世界的ブームが広がっている。しかし、いったいどれだけの日本人が利用しているのか。

   デジタル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2022年8月16日、「NFT(非代替性トークン)に関する調査」を発表した。

   それによると、「NFT」を知っている人は30.8%。現在持っている人は3.2%だという。それって多いの? 少ないの?

  • NFTはブロックチェーンを応用した認証技術だ(写真はイメージ)
    NFTはブロックチェーンを応用した認証技術だ(写真はイメージ)
  • NFTはブロックチェーンを応用した認証技術だ(写真はイメージ)

ティファニーのジュエリーから神社のお守りまで

   「NFT」はNon-fungible Token(非代替性トークン)という新たな認証技術だ。例えて言うなら、作家が自身の作品に付ける「証明書」のようなもの。暗号資産に使われる技術(ブロックチェーン)を応用した。ブロックチェーンの中に個別の識別サインが記録されているので、量産が可能な暗号資産と違って代替不可能なのだ。

   つまり、世界にたった1つ、自分だけのものを作ることができるわけだ。そのため、特定の作品だけをオリジナルとして販売することができるようになり、新しいビジネスモデルとして脚光を浴びている。

   たとえば、米国のデジタルアート作家、マイク・ウィンケルマンのNFT作品が2021年3月、約75億3000万円で落札されて話題になった。今年8月5日には高級ジュエリーブランドのティファニーが250個限定(1個約650万円)でNFTコレクションを発売すると、開始後数十分で完売した。

   アートやファッションのほか、ゲームアイテム、トレーディングカード、音楽、各種の会員権など、さまざまな分野でNFTの新規ビジネスが立ち上がっている。メタバース(仮想空間)との相性がいいこともブームの理由だ。

NFTとメタバースは相性がいい(写真はイメージ)
NFTとメタバースは相性がいい(写真はイメージ)

   いかにNFTの利用ジャンルが広いか、ここ数日、日本国内だけのニュースやプレスリリースの見出しを拾うと――。

(8月16日)「デジタルお守り、NFTとして授与 千葉市の検見川神社」
(8月16日)「新たな歴史の幕開け! 大人気!カワウソの妖精【ちぃたん☆】が遂にNFTとして登場!」
(8月16日)「NFT×渋谷をテーマにしたイベント「PARDEY BASE SHIBUYA -NFT展示2.0-」開催決定!」
(8月16日)「(スポーツBUSINESS)ファンとつながる『証明書』 NFT動画・画像の可能性」
(8月16日)「パ・リーグの名場面NFT、購入者に抽選で始球式投球権」
(8月15日)「世界初!東京・後楽園ホールのプロレス王座挑戦権、NFTデータで発行」

   こういった案配だ。

保有者で多いのは男性20代9.0%、男性30代7.7%

   さて、MMD研究所の調査はスマートフォン、タブレット、PCいずれかを所有する15歳~69歳の男女6763人が対象。

   まず、NFTを知っているか、また持っているかを聞くと、「現在保有している」「過去に保有したことがある」「保有したことはないが、どういうものか知っている」「名前は聞いたことはあるが、内容は知らない」を合わせた認知率は30.8%だった=図表1参照

(図表1)NFTの認知、保有状況(MMD研究所調べ)
(図表1)NFTの認知、保有状況(MMD研究所調べ)

   現在保有している人は、3.2%。性別年代別で見ると、最も高かったのは男性20代(9.0%)、次いで男性30代(7.7%)、男性10代(5.7%)と、男性のほうが女性より多く、若い世代ほど広がっていることがわかる=再び、図表1参照

   ところで、日本での「NFT保有率3.2%」という割合は、いったい世界的に見て高いのだろうか、低いのだろうか。

   対象がNFTゲームに絞っているので、直接の比較は難しいが、英国の比較サイト「finder.com」が今年5月24日、NFTゲームの利用動向に関する26カ国の調査「NFT Gaming Adoption Report」を発表している。

   それによると、最もNFTゲームが普及している国はインドで、34%が「P2E(Play-to-Earn)ゲームをプレイしたことがある」と回答。2位以下は、香港(29%)、アラブ首長国連邦(27%)、フィリピン(25%)とアジア諸国が多く並ぶ。

   一方、米国(9%)、英国(8%)、ドイツ(7%)、フランス(6%)など欧米諸国の普及率は低く、スウェーデン(4%)が最下位。日本は調査対象外だった。

   MMD研究所の調査に話を戻すと、NFTを知っているが保有経験のない人に、NFT保有に興味があるかどうか聞くと、「興味がある」(6.9%)、「やや興味がある」(23.8%)を合せて30.7%となった=図表2参照。今後、保有する可能性がある人が3割近くいるということだろう。

(図表2)NFT保有への興味(MMD研究所調べ)
(図表2)NFT保有への興味(MMD研究所調べ)

「世界に1つだけ」のため、使った金額わからない人も

   また、NFTの保有経験者に持っているNFTジャンルを聞くと(複数回答可)、「スポーツ」(41.2%)が最も多く、次いで「漫画・アニメ」(39.2%)、「音楽・芸能」(34.0%)、「ゲームアイテム」(33.3%)となった=図表3参照。ただ、上位3位のジャンル以外の所有も3割程度あり、ジャンルにあまり偏りがないことがわかった。

(図表3)保有経験のあるNFTジャンル(MMD研究所調べ)
(図表3)保有経験のあるNFTジャンル(MMD研究所調べ)

   NFTの保有経験者に、NFTを保有している(していた)理由を聞くと(複数回答可)、「ゲームに参加するため」(26.4%)が最も多く、次いで「話題になっていたため」(24.6%)、「好きなアーティスト・クリエイターの商品を保有するため」(同)が同率2位となった=図表4参照

(図表4)NFTを保有している(していた)理由(MMD研究所調べ)
(図表4)NFTを保有している(していた)理由(MMD研究所調べ)

   さらに、「好きなIPの商品を保有するため」(24.2%)や「コレクションとして保有するため」(22.4%)など、「世界に1つだけの自分の作品」を持ちたいという意識が強いことがわかる。その一方で、「長期的な投資のため」(23.9%)や「短期的な投資のため」(21.1%)など、投資目的も目立つ=再び、図表4参照

   さて、NFTの保有経験者はどんなNFTマーケットプレイスを利用しているのか。保有経験者に聞くと(複数回答可)、「楽天NFT」(34.7%)と「LINE NFT」(32.6%)がほかを大きく引き離す「2強」となった=図表5参照

(図表5)利用したことがあるNFTマーケットプレイス(MMD研究所調べ)
(図表5)利用したことがあるNFTマーケットプレイス(MMD研究所調べ)

   「世界に1つだけの自分の作品」を手に入れるNFTは、けっこうお金がかかる。のめり込んでしまう人も少なくないようだ。

   そこで、NFT保有経験者にこれまでNFTに使った合計金額(売却益は考慮せず、購入にかかった金額)を聞くと、「5万円未満」(32.6%)が最も多く、「5万円~10万円未満」(18.9%)、「10万円~20万円未満」(16.8%)と続いた。「20万円未満」が全体の約7割の68.3%だった=図表6参照。これは堅実と言えるのだろうか。

(図表6)NFTに使った合計金額(MMD研究所調べ)
(図表6)NFTに使った合計金額(MMD研究所調べ)

   しかし、「300万円以上」(5.3%)も含めた「50万円以上」が合計13.8%もいたのだ。それに加えて、「わからない、答えられない」(7.4%)という存在も考えようによっては、ちょっと気になるところだ=再び、図表6参照

   調査は、2022年6月29日~6月30日、スマートフォン、タブレット、PCいずれかを所有する15歳~69歳の男女6763人にインターネットで聞いた。そのうちNFT保有経験者409人には特に集中的に聞いた。

(福田和郎)

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