2024年 5月 3日 (金)

「夏は終わった。オフィスに戻れ!」...相次ぐ「出社命令」どう対応? 海外ではひそかに「在宅勤務延長メールの書き方」が人気(井津川倫子)

   米国では、9月第一月曜日のレイバー・デー(Labor Day)を節目に「オフィスに戻れ」の動きが広がっています。

   コロナ禍ですっかり定着した「work form home」(在宅勤務)ですが、秋の到来とともに「潮目が変わった」との報道も。なかには「在宅勤務がインフレの要因だ」と、景気悪化に結びつける声まで聞こえてきますが、はたしてビジネスパーソンはどう対応するのでしょうか?

   米CNNいわく「新たな戦い」が勃発しているそうです。

  • オフィスに出社するかどうか問題が世界的な話題に(写真はイメージ)
    オフィスに出社するかどうか問題が世界的な話題に(写真はイメージ)
  • オフィスに出社するかどうか問題が世界的な話題に(写真はイメージ)

週5日オフィス勤務は「無理ゲー」?!「せめて〇曜日だけは在宅させて...」

   9月第一月曜日レイバー・デー(Labor Day)は「労働者の日」という意味で、文字どおり労働者を讃える「休日」です。季節的に、「夏が終わる節目」とされているそうですが、2022年のレイバー・デーは、ビジネスパーソンにとって「夏の終わり」となるのでしょうか?

   レイバー・デーを境に、経営者たちが「Back to the office」(オフィスに戻れ)と、声を上げ始めました。とくに、影響力のあるウオール街の金融業界がこぞって「強気」の姿勢を示していることから、米CNNテレビは「バトルがヒートアップ中!」と報じています。

Summer is over. And the battle to get workers back to the office is heating up
(夏が終わった。そして、従業員を出社させる戦いがヒートアップしている:米CNN)

   コロナ禍で「work form home」(在宅勤務)が定着して数年たちますが、経営者としては、何とかして従業員の出社日を増やしたい、というのが本音の様子。つい最近まで、「在宅勤務」を奨励していたはずのビジネス界で、「the tide turns」(潮目が変わってきた)という報道が相次いでいます。

   なかには、先日発表された米国の調査で、2022年第1・第2クールの「labor productivity」(労働生産性)が低下したことに結びつけて、「在宅勤務がインフレの要因だ!」とする荒っぽい主張まで飛び出しています。

   つまり、在宅勤務で生産性が低下していたところに、ウクライナ戦争の影響で原料費が高騰。人件費を含むコスト増を吸収するために「値上げ」を断行して、結果としてインフレを招いている、というのです。

   従業員をオフィスに呼び戻したい気持ちは理解できますが、「在宅勤務」がインフレを招く「諸悪の根源だ」といった主張はさすがに無理があるようです。

   では、こうした「オフィスに戻れ」宣言に、ビジネスパーソンはどう反応しているのでしょうか?

   英BBC放送によると、先日実施された調査では「在宅勤務と出社」を組み合わせた「ハイブリッド型」の勤務体系が一番人気だったとのこと。意外だったのは、「週5日在宅勤務」を望む人はたったの12%で、大部分が「ハイブリッド型」を希望していることです。

   ちなみに、「在宅勤務をしたい曜日」では「金曜日」が一番人気で、それから「月曜日」が続いています。不思議なことに、「金曜日と月曜日は在宅勤務」を望む傾向は、各国のあらゆる調査で同じ結果が出ています。

   「金曜日と月曜日は在宅勤務、火曜日から木曜日は出社」の「週2日在宅、週3日出社」のパターンが、世界のビジネスパーソンが望む「ゴールデンルール」でしょうか。

   「週5日出社せよ!」と強気を崩さない経営者もいるようですが、「フル出社」を望む人は10%に満たないことから、「週5日出社はいくらなんでも無理ゲー」「せめて金曜日か月曜日は在宅勤務を」というのが、各国ビジネスパーソンの本音のようです。

「出社せよ!」という上司を説得するメールの書き方とは?

   「オフィスに出社せよ!」のプレッシャーが強まるなか、これまでどおり在宅勤務を続けたいビジネスパーソンはどうすればよいのか。

   ニーズがあるところに、ソリューションが生まれるのが世の常です。さっそく、「出社を要請する上司を説得するメールの書き方」といったアドバイスがネット上に出現し、人気を博しています。

「Here are a few tips for writing an email requesting work from home」(在宅勤務を要請するメールを書くコツ)

   どんな内容なのか興味がわきますが、まずは「病気の家族がいる」など、「上司が状況を理解できるように、在宅勤務が必要な理由を詳細に記載せよ」とアドバイスしています。

   また、「週3日在宅希望」のように「在宅勤務を希望する日数」や、「あと1か月はこのまま在宅勤務を続けたい」など、希望を具体的に数値で伝えることが大事、だとしています。

   くわえて、「在宅勤務中は上司に毎日報告します」「ミーティングに出席できない場合は電話で対応します」といったフォロー策を提案する。「在宅勤務の方が業務に集中でき、書類作成がはかどった」など、実績をアピールするのも効果的とのこと。なるほど、「上司攻略」のポイントがつかめた気がします。

   「出社」をめぐる「新たな戦い」がこの先どう転じるのか。とくに、「上司を説得するメール」については、ぜひ、実例とその効果といった「続報」を期待したいところです。

   それでは「今週のニュースな英語」は、「the tide turns」(潮目が変わる)を使った表現を紹介します。世の中のトレンドが大きく変化することを表し、ビジネスの場面でもよく使われます。

Turn the tide !
(潮目を変えろ!=状況を変えよう)

The tide turns toward renewable energy
(潮目は、再生可能エネルギーに向けて変わっている)

Is the tide turning on the streaming market?
(ストリーミングサービス市場の潮目が変わってきた?)

   ちなみに、マネジメント層への調査で「出社要請に応じない社員にどう対応するか」と尋ねたところ、40%が「nothing」(何もしない)と回答したとのこと。もしかしたら、「新しい戦い」を制するのは「強気な従業員」かもしれません。

(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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