多忙な弁護士の「仕事と育児」、どう両立させているのか?/弁護士・古家野晶子さんに聞く

   京都市中京区で、弁護士として活躍する古家野晶子(こやの・あきこ)さん。父親が開設した古家野法律事務所で、メンバーの働きやすさやテレワークなどの環境整備に注力してきた。

   事務所は、現在女性3人男性2人の弁護士が所属し、その多くが子育て世代だという。自身も2児の幼い子どもをもちながら弁護士の仕事と育児に取り組む古家野さんに、個人として、そして事務所としての働きやすさや両立の取り組みについて話を聞いた。

  • 古家野法律事務所の弁護士・古家野晶子さん
    古家野法律事務所の弁護士・古家野晶子さん
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女性事務員の出産を機に、「仕事と育児」両立支援...残業時間、年休取得など改善

――お父様が開設された弁護士事務所は、どのように承継されたのですか。

古家野晶子さん「私は、大学卒業後しばらくメーカーで働いた後、ロースクールを経て2008年に弁護士になりました。その際、弁護士の父が開設した法律事務所で働き始め、マチ弁(※)として、刑事や家事、民事事件、事業再生など幅広く経験しました。なかでも、父が注力していた企業サポートの仕事を多く手掛け、人事労務分野に力を入れてきました。
その後、父が2017年に他界したことから、同じく弁護士の弟とともに、いったん事務所を引き継ぎました。そして2021年から、他の所属弁護士も加えたパートナー弁護士4名で経営するパートナーシップ制に移行しました。所属弁護士がそれぞれ主体的に働き方を選択できる事務所を目指しています」

(※)マチ弁...「町の弁護士」の略称で、地域に根ざし、主に地域内の案件を扱う弁護士。

――メンバーの働きやすさや両立支援に取り組まれ、法律事務所ではじめて、くるみん(子育てサポート企業)認定も受けたそうですね。

古家野さん「事務所としては、2012年の女性事務員の出産をきっかけに、まずは事務職員について、仕事と育児の両立支援の取り組みをはじめました。
人事労務分野の知見はありましたから、就業時間の見直しや規則・様式の整備など、必要と考えることを次々に実行。その結果、残業時間や年休取得率の点でも顕著に改善することができました。
こうした取り組みのおかげか、その後の5年間で、メンバー10名足らずのところ7人の赤ちゃんが産まれる、という出産ラッシュが訪れました。嬉しくも大変な時期でしたが、中小企業に対する各種助成金や補助金なども活用して、何とか乗り越えました。私も2014年と2016年に出産したので、自分自身を実験台にするつもりで環境の整備を進めました」

――テレワーク環境整備にも積極的に取り組んできたとか。

古家野さん「私が出産した後の2015年から、弁護士についての育児との両立支援をはじめました。
まずは、テレワーク環境の整備に取り組みました。それまでも、弁護士はノートPCを持ち歩いて、移動時間や出先の空き時間でのモバイルワーク、帰宅後の在宅ワークをしていました。とはいえ、やはり平日昼間は、事務所に出て仕事をしていることが多いものです。そこで、平日昼間のテレワークを可能にするために、事務所外でも電話の受発信ができるようにしたり、ウェブ会議ツールを導入したりしました。
電話については、電話の受発信のためにわざわざ事務所に行く必要がなくなり効果的でした。一方で、ウェブ会議のほうは、事務所と自宅間では活用できても依頼者とのやりとりに導入することは当時は難しく、効果は限定的でした。それがコロナ禍でウェブ会議が一般に普及してからは、一気にフル活用できるようになりました」
水野 矩美加(みずの・くみか)
水野 矩美加(みずの・くみか)
アパレル、コンサルタント会社を経てキャリアデザインをはじめとする人材教育に携わる。多くの研修を行う中で働き方、外見演出、話し方などの自己表現方法がコミュニケーションに与える影響に関心を持ち探求。2017年から、ライター活動もスタート。個人のキャリア、女性活躍、ダイバーシティに関わる内容をテーマに扱っている。
戸川 明美(とがわ・あけみ)
戸川 明美(とがわ・あけみ)
10数年の金融機関OLの経験を経て、2015年からフリーライター、翻訳業をスタート。企業への取材&ライティングを多く行う中で、女性活躍やダイバーシティの推進、働き方の取り組みに興味をもつ。
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