「おトクにお試しだけ」のつもりで特別割引クーポンを使ったら、2000円が5万円に!
通信販売をめぐり、こんなトホホの被害が続出しているため、国民生活センターは2022年9月7日、「『特別割引クーポン』を利用したら、いつの間にかコース内容が変わっていた」という警告リポートを発表した。
注文完了直後に現れる「特別割引クーポンを発行」という表示を悪用した新手の詐欺のようだ。いったいどんな手口なのか。
「特別割引クーポン」をクリックしただけで定期購入を契約
最近、通信販売で「いつでも解約可能」などと表示された「定期購入」の広告が増えている。そこで、1回だけ「お試し」に商品を購入、2回目以降を解約しようとすると、知らないうちに「定期購入」を契約させられていたという被害相談が全国の消費生活センターに寄せられている。
国民生活センターによると、代表的な事例はこんな内容だ。
【事例】1回のお試しのつもりが、「特別割引クーポン」をクリックしただけで定期購入コースに変更されていた
スマートフォンで、「定期縛りなし」「初回約2000円」という美容液の定期コースの広告を見て、販売サイトで注文した。初回の商品が届き、販売業者に電話で定期コースを解約したいと伝えると、「4回の購入が条件の定期購入コースの契約になっている」と説明された。
広告には「定期縛りなし」と記載されていたと伝えたが、「特別割引クーポンを『利用する』のボタンを押してコースを変更しているため、4回約4万円分の商品を購入する必要がある」と説明された。
「納得できない」と何度も伝えたが、「4回購入しないと解約できない」としか言わない。注文完了直後に割引クーポンが表示され、利用した記憶はあるが、コースが変更されるとは思っていなかった。(2022年3月・40歳代女性)
小さな文字、何度もスクロールしないと見えない仕掛け
この事例の問題点は、販売サイトで「いつでも解約可能」「定期縛り無し」「1回だけのお試しOK」などの表示につられて、「購入回数の条件がない定期購入」を申し込んだところまではいいが、注文完了直後に不用意に「特別割引クーポン」の利用をクリックしてしまった点にある。
そうして、詐欺サイトの罠にかかってしまったわけだ。巧妙な手口の流れを見ていこう=図表参照。
(1)販売サイトで、利用者が「いつでも解約可能」と表示された「購入回数の条件がない定期購入」に申し込む。
(2)すると、「注文完了画面」に「ご注文ありがとうございました。10分間限定で特別割引クーポンが発行されました。クーポンを利用すると永続的に10%OFFが適用されます」などと利用を勧める画面が表示される。
(3)しかも、最初から「確実にお得な特別割引クーポンを利用する」というボタンが選択されている。そして、「残り9分32秒」などとカウントダウンが始まり、利用者を焦らせる。
(4)利用者は1回きりのお試しだが、商品代金がさらに安くなるならと思い、ついクーポンを利用するボタンをクリックする。
(5)じつは、サイトの中には非常に小さい字で「特別割引クーポンの利用でコースが切り替わります」「本コースは4回の受け取りを条件に特別割引が適用となります」などと表示されているのだ。しかし、何回もスクロールしないと表示場面が見えない仕掛けになっており、見つけにくい。
(6)「注文完了画面」が表示されるが、コースが変更されたことの記載はない。利用者は商品が届いた時に、初めて「複数回の購入が条件の定期購入」を契約してしまったことに気づく仕組みだ。
国民生活センターではこうアドバイスしている。
「注文完了直後に『特別割引クーポン』を利用することで、コースの内容が変更されるケースがあります。『特別割引クーポン』を利用する際の『最終確認画面』でも、定期購入の条件が変更になっていないか、2回目以降の分量や代金などの販売条件(特に購入回数の条件)を必ず確認しましょう」
(福田和郎)