2024年 5月 1日 (水)

「100円」コスト増でも、価格転嫁は「36円」!...調査で判明 「なんとか値上げ」と「泣き寝入り」企業...その明暗を分けるものは?

   「100円」コストアップしても、価格転嫁できるのは「36円」分だけ。企業の2割は全く転嫁できない――。

   帝国データバンクが2022年9月15日に発表した調査「特別企画:企業の価格転嫁の動向アンケート(2022年9月)」で、企業の苦しい実態が明らかになった。

   原材料やエネルギー価格の高止まりのほか円安の進行と、企業を取り巻く経営環境は厳しさを増している。

  • 物価高はどこまで上がるのか(写真はイメージ)
    物価高はどこまで上がるのか(写真はイメージ)
  • 物価高はどこまで上がるのか(写真はイメージ)

業界全体で値上した建材・家具、機械・器具

   帝国データバンクの調査によると、自社の主な商品・サービスでコストの上昇分を販売価格やサービス料金に「多少なりとも転嫁できている」企業は、70.6%となった。一方で、「全く価格転嫁できていない」企業は18.1%だった。

   「多少なりとも転嫁できている」企業の内訳をみると、コストの上昇分に対し、「すべて価格転嫁できている」企業は2.3%にとどまる。「8割以上できている」企業は11.7%、「5割以上8割未満できている」は16.7%となった=図表1参照。

(図表1)価格転嫁の状況(帝国データバンクの作成)
(図表1)価格転嫁の状況(帝国データバンクの作成)

   総じてみると、価格転嫁をしたいと考えている企業で、コストの上昇分に対する販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は36.6%と、4割未満にとどまった。これは、コストが100円上昇した場合に36.6円しか販売価格に反映できていないことを示している=図表2参照。

(図表2)価格転嫁の状況(帝国データバンクの作成)
(図表2)価格転嫁の状況(帝国データバンクの作成)

   業種別の価格転嫁率をみると、明暗が分かれている。たとえば、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」(53.1%)や「機械・器具卸売」(50.9%)、「飲食料品卸売」(48.3%)では価格転嫁率が5割近くとなった=図表3参照。

(図表3)主な業種の価格転嫁率(帝国データバンクの作成)
(図表3)主な業種の価格転嫁率(帝国データバンクの作成)

   多少なりとも転嫁できている企業からはこんな声が挙がっている。

「木材製品はウッドショックにより市場全般が値上げを容認した」(木材・竹材卸売)
「円安の進行によるコストアップが激しいため、販売価格に転嫁せざるを得ない。顧客には丁寧に説明している」(家具・建具卸売)
「業界全体で値上げの動向もあり、価格転嫁についても同様の動きがあった」(無機化学工業製品製造)
「顧客の認識として、明らかに価格が上昇している部材を使用している製品の販売価格を上げることは理解してもらえるが、すべての製品で理解を得られることはない」(電気機械器具卸売)
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