タックスヘイブンで「税逃れ」疑惑も
しかし、資産の面でしばしばモラルが問われた。2020年に妻ムルティさんがインドで得ている巨額の収入に対して、英国に所得税を納めていないことが問題視された。それ自体は合法だが、夫・スナク氏の評価が急降下したため、ムルティさんは今年4月、英国で納税すると発表した。
また、英紙インディペンデントに、英領バージン諸島とケイマン諸島のタックスヘイブン信託の2020年の受益者リストにスナク氏の名前が出ていると報じられて、野党・労働党から「税逃れ」として追及を受けている。
このように、「庶民感覚」からかけ離れていることもあって、早くも野党・労働党などから首相としての資質について、追及の火の手があがっているようだ。
AFP通信の記事(10月26日付)によると、労働党のナディア・ウィットム議員がツイッターに、「スナク夫妻は7億3000万ポンドの財産の上に腰を据えている。これはチャールズ国王の推定資産の約2倍だ」「スナク氏が、労働者階級が代償を払うことになる『厳しい決断』を下すと言うときには、このことを思い出そう!」と投稿した、と報じられている。
英国の有権者はとりわけ社会階級に関する問題に敏感だ。同じAFP通信の記事は、スナク氏が高級ブランドであるプラダの靴を履いて、建設現場を視察した写真を掲載し、こう報じたのだった。
「スナク氏が『庶民派』をアピールしようと、10代の頃に実家の薬局を手伝っていたエピソードを頻繁に語っている。だが一方で、売店でカード払いの方法が分からないような様子を見せたり、ガソリンスタンドで自分の所有物ではない車にガソリンを入れている様子を写真に撮らせたり、(中略)失態を演じている」