2024年 4月 25日 (木)

岸田政権「総合経済対策」は、バラマキのポピュリズム! エコノミストが懸念...「英国トラス前首相退陣とウリ二つ」「円安加速させ、かえって物価高に」

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   「最初から規模ありきのバラマキ」。岸田文雄政権が2022年10月28日に発表した「総合経済対策」を主要メディアが批判している。

   高騰する家庭の電気・ガス料金の支援など物価高対策が柱だが、「財政規律」を度外視した政策が、首相退陣につながった英国の「ポピュリズム」の失敗にうり二つだという。

   エコノミストの中にも「かえって円安を加速させ、物価高を招く自己矛盾」と指摘する意見もある。どういうことか?

  • 自民党の「恫喝」に屈して「財政規律」路線から変更の岸田文雄首相
    自民党の「恫喝」に屈して「財政規律」路線から変更の岸田文雄首相
  • 自民党の「恫喝」に屈して「財政規律」路線から変更の岸田文雄首相

「3時間で4兆円増えた。『時給1兆円』以上だな」

   報道をまとめると、政府が10月28日に決めた電気・ガス代対策を目玉とする総合経済対策の主な内容は次のとおりだ。

(1)物価高騰への取り組み(12.2兆円)。家庭の電気料金を2割程度軽減&都市ガスの料金を1割程度軽減。ガソリン価格の補助も合わせて、標準世帯で約4万5000円の家計支援になる。来年(2023年)9月終了予定。
(2)円安を生かした「稼ぐ力」の強化(4.8兆円)。農林水産物や食品の輸出拡大。
(3)新しい資本主義の加速(6.7兆円)。働く人の賃上げ実現に向けてリスキリング(学び直し)支援拡大。妊娠・出産時支援として10万円相当支給。
(4)防災・減災など安心・安全の確保(10.6兆円)。園児の送迎用バスの安全装置改修支援。

――などの内容だ。

   中身は物価高対応だけではなく、公共事業も含めたあれもこれもの「バラマキ」が目立つ。与党・自民党の圧力で、財務省が維持しようとした財政規律が吹き飛んでしまった経緯を、いくつかの主要メディアが報じている。

   朝日新聞(10月28付)「4兆円一夜で丸のみ 政権窮地、自民強気の予算要求」という記事は、「自民党本部9階で26日午後、萩生田光一政調会長の怒号が響いた」という書き出しで始まる。

   同記事によると、矛先は自民党の意向だった「(補正予算案規模)約30兆円」を無視して、「約25兆円」を岸田文雄首相に示した財務省幹部に向けられたという。結局、増額を求める自民党の大合唱に、支持率低迷に悩む岸田首相も同調、要求をほぼ丸のみした格好になった。

   中身を取捨選択して対策を作るべきとの意見も首相周辺にはあったそうだが、「首相は『中身がまず大事。規模も大事。納得してもらえる規模を考えていく』と、自民党への配慮をにじませた」と朝日新聞は報じる。

   萩生田政調会長が、財務省幹部に「怒号」を発した3時間後、岸田首相は鈴木俊一財務大臣に見直しを指示、補正予算案規模は29.1兆円で決着した。朝日新聞は、自民党政調会幹部が「3時間で4兆円増えた。『時給1兆円』以上だな」と語ったエピソードを紹介している。

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為替介入を続ける財務省

   こうした経緯を日本経済新聞(10月28日付)は「社説:巨額の痛み止めを盛る経済対策の危うさ」でこう批判した。

「規模は与党内の圧力から土壇場で一気に膨れあがった。過去2年、政府はコロナ禍を受けた家計などへの支援で各70兆、30兆円台の歳出を追加した。日本経済は回復傾向にあり、世界はインフレ圧力にさらされる。状況は激変した」
「民間の経営革新や投資の後押しで経済の活力を高めるのが本来の政府の役割で、すべてを財政支出で埋める発想は間違っている。対策に賃上げやリスキリング(学び直し)を促す措置も盛り込まれたが、旧来の政策の焼き直しにとどまる」
「英国では財源の裏付けなく巨額の経済対策を示したトラス前首相が英国債の急落など市場の波乱を招き、辞任に追い込まれた。経常収支や国内勢の国債保有などの違いはあるものの、今回の対策は英国の失敗と、うり二つの構図だ」
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