2024年 5月 3日 (金)

米中間選挙「最悪シナリオ」に政府機関閉鎖、デフォルト...エコノミストはどう読む? 「愛されない大統領」バイデン氏に、経済の舵取りできる?

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「ねじれ議会」になると、政権とFRBに温度差広がる

パウエルFRB議長(FRB公式サイトより)。中間選挙後はバイデン大統領と金融政策の対立が起こる?
パウエルFRB議長(FRB公式サイトより)。中間選挙後はバイデン大統領と金融政策の対立が起こる?

   今回の中間選挙は、急激なインフレに襲われ、FRB(米連邦準備制度理事会)が急速に利上げを進めているという、かつてない状況下で行われる。バイデン政権と議会に「ねじれ」が生じれば、さらなる経済の混乱は避けられない、と指摘するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏のリポート「米国中間選挙でインフレが民主党の強い逆風に:選挙後も米国のドル高容認姿勢はしばらく継続」(10月31日付)によると、米国民は物価高騰に不満を募らせている。

   バイデン大統領の就任以来、実質賃金が4%程度減少しているが、これはリーマン・ショック時(2008年)を上回る大幅な落ち込みなのだ。

「バイデン政権が発足直後に打ち出した経済対策が遡って批判されている面もある。バイデン政権は2021年3月に総額1.9兆ドルの大型経済対策法を成立させた。また同年11月には5年間で1兆ドルを投じるインフラ投資法も成立させた。これらについて、過大な財政拡張策が物価高を助長した、との批判が出ている」

   このため、民主党は「インフレ」から有権者の目をそらすため、「民主主義擁護」「中絶」などを争点にする戦略を取ってきたが、バイデン大統領の支持率は低迷している。しかも、中間選挙後には、米国の景気減速が待っている。すると、政府とFRBの物価高対策をめぐる温度差が広がるのではないか、と木内氏は懸念する。

中間選挙の結果を注視する米ウォール街
中間選挙の結果を注視する米ウォール街
「政権はより景気に配慮した金融政策運営を望むようになるだろう。また、輸出企業の競争力への悪影響を高めるドル高を食い止める観点からも、金融引き締めの修正に期待するようになるのではないか。他方でFRBは、景気を犠牲にしてでも物価高が定着しないように、金融引き締めを継続する姿勢をしばらく維持するだろう。
中間選挙の結果ねじれが生じれば、バイデン政権の経済運営はより行き詰まることになる。その場合、金融市場ではFRBの金融政策に経済のかじ取りを期待する傾向が強まるのではないか」

   政権、FRBともに安心して経済政策運営を任すことができない、頼れるところがない、との不安が金融市場を動揺させる事態も考えられる。木内氏はこう結ぶ。

「金融市場の関心は既に、中間選挙後のFRBの金融政策運営と経済、金融情勢に向けられている。選挙後には、政府に代わってFRBの金融政策が金融市場で評価に晒されるのである」
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