2024年 4月 19日 (金)

仕事がうまくいかないのは、「スキマ」がないから?

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   本書「成功している人のスキマの法則」(扶桑社新書)は、社会心理学者の著者が、科学的で論理的な「新しい引き寄せの法則」を説いた本である。「スキマ」をつくることで人生に新しい流れを呼び込むというものだが、ビジネスにも参考になりそうだ。

「成功している人のスキマの法則」(八木龍平著)扶桑社新書

   著者の八木龍平さんは、同志社大学経済学部を卒業後、NTTコムウェア勤務を経て、北陸先端科学技術大学院大学で博士号(知識科学)を取得。同大学客員准教授などを歴任。現在は作家として活動しながら、「リュウ博士」として、スピリチュアルについて発信している。著書に「成功している人は、なぜ神社に行くのか?」などがある。

物事と自分との間に「スキマ」ができると...

   仕事で成功するためには、「スキマ」が重要だという。仕事そのものだけでなく、クライアント、達成目標、上司や同僚、組織、労働環境など、仕事にまつわるあらゆる物事と自分との間にスキマをつくることで、対象との間に距離が生まれる。そうすると、つまり、客観的な視点で物事を見られるようになる。

   これを心理学用語で「メタ認知」という。

   さまざまなことを認知している自分を、より高い視点から認知することだ。たとえば、「私は今、映画を見て笑っている」と認識することが「メタ認知」だ。

   メタ認知が働くと、仕事にも余裕を持って対処できるようになり、仕事上の人間関係にも悩まされることもなくなるという。

   GDPが伸びず、コロナ禍の日本。八木さんは、今後は世界中で大きな停滞が続くと予想している。何をつくれば売れるのか、見通しが難しい中で、「遊び」がカギになる、と見ている。そして、遊びを生むために欠かせないのが、スキマだ。

人の心を動かすのは、「What」よりも「Why」

   さらに、「優秀なセールスマンほど、商品の説明をしない」と意表を突くことを書いている。イギリス出身のアメリカ人コンサルタント、サイモン・シネック氏が提唱した「ゴールデンサークル理論」を引用して、説明している。

   成功する人や組織は、どうやって人の心を動かしているか、を表した理論だ。セールスやプレゼンのうまい人は、「Why(なぜ?)」→「How(どのように?)」→「What(何を?)」の順番で説明しているという。

   商品セールスに例えると、「なぜ、私たちがこの商品を作ったのか」「どんなビジョンや使命感を持って取り組んでいるのか」「この商品を広めることで、世の中をどう変えたいか」を、まず伝えるのが重要だ。

   だが、ほとんどの人は、その反対の「What」――つまり、商品の説明をすることから始めてしまう。これでは、聞いている人は面白くないし、セールスにも結びつかない。なぜなら、人は「何を?」より「なぜ?」に動かされるからだ。

   この現象を、「スキマ」と関連づけて説明している。「これは、こういう特徴を持った商品で......」と熱心に説明しているときは、一生懸命になるあまり、スキマがなくなっている状態だ。「買って!」と主張するばかりで、聞き手の気持ちを受け入れる空きスペースがなくなっている。

   反対に、夢やビジョン、使命について話しているときは、スキマが空いている状態だ。話す人の中に、「聞く人のためのスペース」があり、相手が共感すれば、あとは商品が何であろうが、「あなたが言うなら、それでいい」「この人と一緒に仕事ができればいい」と相手は思ってくれるという。

   この理論は、セールスだけでなく、リーダーシップがある人、マネジメントが得意な人など、いわゆる「仕事ができる人」の多くに共通することだ。人の心を動かそうと思うときは、まず「Why=夢やビジョン」から伝える、と力説している。

仕事がうまくいかないときには「目的や前提から見直す」

   何らかのトラブルや目的が起こって、なかなか仕事がうまくいかないときには、「当初の目的や前提から見直す」という方法がある。ハーバードビジネススクール名誉教授のクリス・アージリス氏は、「ダブル・ループ理論」と名付けた。

   組織にいれば、前提を見直す権限がないという人も多いだろう。しかし、八木さんは、「組織に属していても避けられるリスクは意外とある」と書いている。上司や取引先から持ち掛けられた話でも、スキマをつくって、冷静に「これは乗っかってもいい話なのか?」を嗅ぎ分けることが大切だと指摘している。

   同じ従うにしても、「積極的に」従うのか、「消極的に」従うのか、陰で裏切るのか、いろいろな選択肢が生まれる。自主的に選択する状況が拡大するほど、スキマも広がるのだ。

   以上、「仕事編」から、いくつかポイントをピックアップしたが、本書には「お金編」「人間関係編」「暮らし編」「神様編」も収められ、以下のような項目に「なるほど」と思った。

・お金の出入りの感覚を体でつかむ
・成功する人は、地味なひとり時間も楽しめる
・掃除や片づけでスキマをつくる
・神社は「スキマ」をつくるのにぴったりの場所

   心理学や経営学の知見から「スキマ」の効用を再認識できる1冊だ。ちなみに、「メンタルも基礎体力が大事」と最後に書いている。

   メンタルは、リラックスするほど基礎体力がつくそうだ。読んでいるうちに、心にスキマが生まれ、なんだか落ち着いたような気がする。(渡辺淳悦)

「成功している人のスキマの法則」
八木龍平著
扶桑社新書
924円(税込)

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