2024年 5月 8日 (水)

「歴史的な成果」COP27、地球温暖化の被害支援「基金」設立へ...避けられてきた先進国の「責任と補償」が前進 だが、詳細は先送り、誰が負担するかも未定

EUは、中国の資金負担を主張も...各国の利害調整も課題

   最大の問題は、誰が資金を負担するかだ。

   第一義的には、先進国が出すのは当然。だが、欧州連合(EU)はCOP27の議論の中で、世界第2の経済大国で、CO2排出量世界1の中国も費用を負担すべきだと主張した。もっとも、中国は途上国のまとめ役を自認し、支払いを約束していないなど、各国の利害調整は一筋縄ではいきそうもない。

   そもそも、温暖化対策自体は、COP27ではほとんど進展はなかった。産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標については、「さらなる努力を追求する」とのCOP26の表現を踏襲するのが精いっぱいだった。

   国連環境計画(UNEP)によると、現在、各国が掲げる目標を達成しても、気温上昇は1.5度を大幅に上回る2.4~2.6度に達する可能性が高い。

   そもそも、1.5度上昇でも、洪水にさらされる人口は世界で2倍に増えるとされる。また、世界銀行はこのままでは2050年までに、気候が原因の災害で避難を強いられた人は2億人超に膨らむと予測している。

   温暖化対策に残された時間は少ない。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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