2024年 4月 27日 (土)

「一見さん(いちげんさん)お断り」の本当の理由とは?【尾藤克之のオススメ】

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   京都の祇園を中心とした五花街で、舞踊、御囃子などの芸で宴席に興を添えることを仕事とする芸妓の見習い段階の少女、舞妓。

   その世界には、舞妓特有の厳しいしきたりがあり、かなりの忍耐が必要とされます。舞妓の仕事に馴染みは少ないかもしれませんが、私たちのビジネス社会に役立つヒントがないか探ってみます。

「京都花街の芸舞妓は知っている 掴むひと 逃すひと」(竹由喜美子著)すばる舎

お茶屋遊びには、財布がいらない?!

   京都花街は原則的に、「一見さんお断り」です。はじめての人は、「お茶屋」(芸妓を呼んで、飲食ができるお店)を利用できません。紹介があって、はじめて座敷にあがることが可能になります。こんな話をすると、「ハードルが高そう」なんて声が聞こえてきそうです。しかしこれには、ちゃんとした理由があるのです。

「そんなに格式を重んじていたのでは、お客を失い先細りしていくのではないかと思われるかもしれません。こういうしきたりが続いているのには、それなりの理由があるのです。信頼関係にもとづく長いお付き合いをしていくためです。京都花街では、お座敷にあがられたお客様から、その日にお支払いいただくことはありません」(竹由さん)
「経費はお茶屋が立て替え、後日精算いただくようになっています。お茶屋経由で2次会に行かれたなら、その支払いも移動のタクシー代もすべてお茶屋に請求がくるようになっています。お客様は財布を持っていなくても大丈夫なのです。お客様への請求は数ヵ月後(場合によっては半年)ということもあります」(同)

   長期掛け払い、という京都花街の慣行は、かなりの信頼関係がなければ成立しないでしょう。信頼関係は昨日今日知り合って、すぐに生まれるものではありません。これが、一見さんをお断りする大きな理由になるのです。

「ちなみに、どなたかご紹介者があってお座敷にあがられるようになったかたが、万が一、お茶屋からの請求を踏み倒したならば、その責任を紹介者が負われて、支払いを肩代わりされることもあるのです」(竹由さん)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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