2024年 4月 19日 (金)

日銀サプライズ人事「どうする植田新総裁?」...エコノミストが指摘「バランスいいチーム植田」「学者というより日銀の人」「意外に速く進む日銀改革」

「指値オペ停止」「YCC見直し」「短期金利のマイナス解消」の順に進む?

日本経済はどうなる(写真はイメージ)
日本経済はどうなる(写真はイメージ)

   一方、比較的速いペースで金融政策の正常化が進んでいくのではないかとみるのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏だ。

   熊野氏はリポート「植田総裁で何かが変わる?~Q&Aで答える~」(2月13日付)のなかで、一問一答形式で7つの問いに対する見立てを披露している。そのうち、5つの質問の答えを整理すると――。

Q1:政策修正を行うか。いよいよ出口戦略に着手するか?

   Yesだろう。もし、2023年度物価見通しが2%を超えると予想されれば、YCC(イールドカーブ・コントロール)は見直されるだろう。その先には短期金利マイナス0.1%を是正する課題があり、出口とはその段階を指すのだろう。

   新総裁は、就任直後に新しいコミットメントを提示する見通しだ。展望レポートは2023年4月、7月、11月に発表される。そこで物価情勢を確認しつつ、黒田体制の枠組みの修正に着手する。ゴールは「出口」だが、ゆっくりと進んでいくかっこうになろう。

Q2:YCCの見直しはいつか?

   YCCを撤廃すると、長期金利が跳ね上がるので、いきなりの撤廃はない。長期金利コントロールを有名無実化するために、上限をさらに0.75%、1.00%と引き上げていき、その先に撤廃がある。

   2023年4月以降に間を置かずに、物価・政策効果の再検証、共同声明の再確認をする。新しいコミットメントの提示はそれを踏まえるだろう。その後にYCCの見直しをすると予想するが、そこまでのタイミングは意外に早く来そうだ。

Q3:いつ再検証、共同声明の再確認を行うのか?

   4月27・28日に決定会合がある。物価・政策効果の再検証、点検がこのタイミングに実施される可能性がある。もう1つ定義し直す必要があるのが、2%の物価目標達成に関するコミットメントだ。すでに、消費者物価は2%を超えて、4%にまで達している。オーバーシュートした物価上昇率を新体制がどうみるかは明らかにすべきだろう。

市場との対話も「チーム植田」の課題だ(東京証券取引所)
市場との対話も「チーム植田」の課題だ(東京証券取引所)

Q4:国債買い入れはどうするか?

   問題は(日銀が利回りを指定して、国債を無制限に買い入れる)指値オペだ。長期金利の上限を超えた金利水準は容認しない。指値オペをやらないということは、長期金利の上昇を容認するということだ。

   (副総裁になる)内田氏の腕の見せどころだ。選択肢は、0.50%以上の長期金利は容認して、指値オペは打たないというものだ。市場実勢には逆らえないと説明して放任する。金利重視の政策に戻るというシグナルになる。

Q5:出口はいつか?

   出口の意味は、利上げだと考えられているが、実は、定義はあまり明確ではない。植田氏はその手前で「出口とは何か」を定義するだろう。そして、出口に至るための経済・物価の条件を明らかにする。

   課題は、(1)指値オペの停止、(2)YCC見直し、(3)短期金利のマイナス金利の解消、の順番だろう。時間軸で言えば、(1)と(2)は2023年内だとしても、(3)は2024年以降になると予想される。

(福田和郎)

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