2024年 4月 23日 (火)

日本の死刑制度の廃止求める勧告...国連人権理事会から 144か国で「死刑廃止」、日本は世界の潮流と「逆行」(鷲尾香一)

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6月の国連理事会までに、勧告を受け入れるどうか判断 勧告に法的拘束力はない

   だが、死刑制度を存続させていることのデメリットもある。

   たとえば、日本人犯罪者が死刑制度を廃止している国に逃亡して捉えられ、日本で死刑になる可能性がある場合に、逃亡先の政府が犯人の引き渡しを拒否するケースもあり得るし、捜査協力や司法協力を拒まれる可能性もある。

   日本国民の多くは「平和憲法」を支持している。

   広島・長崎への原爆投下という悲惨な体験と多くの犠牲者を出した敗戦が、日本人の平和を望む気持ちの根底にある。しかしながら、戦争も死刑も「他人を殺す」行為という点では同じ。戦争には反対だが、死刑には賛成という考え方は、必ずしも「他人を殺す」行為を否定しているわけではない。事実、死刑を廃止している国でも戦争行為を行っている国はある。

   死刑制度のあり方については、内閣府の世論調査だけではなく、国民的な議論を行うべきではないだろうか。

   今回の国連の勧告に法的拘束力はないが、日本政府は6月の国連理事会までに勧告を受け入れるかの判断を示す必要がある。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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