2024年 4月 19日 (金)

冬よりも夏に客が多く来るスキー場は、どうやってできたのか?

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適正な価格で得た資金を新たなコンテンツに

   「対価をいただくことを恥じてはいけない」という一節が心に残った。

   使われなくなっていたリフト終点のプラットフォームを絶景ブランコ「ヤッホー!スウィング」に改造した。有料化と有人によるサービス提供として、2分間で500円の料金を徴収することにした。ブランコだけで年間の売上は1000万円にもなる。こうして得た資金をもとに、次のコンテンツを整備した。

   さらに、2019年には、スキー場として国内唯一のVIPサービスを始めた。複数のラウンジ利用やゴンドラリフトの優先搭乗、優先駐車場などがパッケージになり、通常のリフト券の2倍の料金というものだ。21~22年シーズンでは1400人が利用し、単価アップに貢献した。こうした取り組みの結果、売上は過去7年間で1.8倍に、営業利益は12倍になった。コロナ禍でも勢いは止まらない。

   国内のスキー場では、安売り競争が加速しているという。これに対し、和田さんは、魅力的なコンテンツをつくり、適正な価格をいただくことで、新しい魅力やコンテンツを開発するという「正のスパイラル」を回すことが大切だ、と説く。

   成功するかどうかの勝負は球数にある。そのたえ、とにかく小さな球を打ち続けることが大事だと。まずは傷の浅そうなものから、どんどん始めてしまう。お客さんが求めることを把握し、準備することは難しいので、「計画よりも実験」「実験を通じて当たりそうだと感じたものに集中する」ことだと強調している。

   本書には、白馬岳を目指して飛び出した展望施設の写真が載っている。そこからの眺めを見るだけでも行く価値があると思った。

   隣には栂池高原や白馬八方尾根という人気スキー場があるなかで、標高が低く、ウィンターシーズンが短いというハンデを抱えた白馬岩岳。その生き残り策は多くの示唆に富んでいる。(渡辺淳悦)

「スキー場は夏に儲けろ!」
和田寛著
東洋経済新報社
1760円(税込)

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