ハイスキル人材には効果がない?
インターネット上で、この制度変更へのコメントを見ると、自己都合でもすぐに失業給付がもらえるなら、転職活動がしやすくなる、という声が多い。
果たして、人材の移動や労働市場の活性化が進むのか――。
野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英氏は、同総研のサイトで、「労働者が転職するインセンティブを高め、労働移動を促す措置として選択肢の一つとなるだろう」としつつ、以下のような問題点も指摘している。
「制度変更の効果は、それほど大きくは期待できない可能性がある。政府は、リスキリングを通じて、労働者のITスキルの向上を図るとともに、その労働者をIT関連分野・職種などへの転職を促すことで、産業構造高度化と生産性向上、並びに賃金引上げを図る考えである。つまり対象は、比較的ハイスキルの労働者である」
「ただし、そうした労働者の場合には、ヘッドハンティングなどを通じて、他社への転職を決めてから離職をするケースが多いのではないか。そのため、自己都合離職の場合の失業給付受給条件を変更しても、そのメリットを大きく受けることにはならないように思われる」