上手なセールス・プレゼンテーションはどこが違う? うまく話を展開させるには「型」がある(大関暁夫)

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「Desire(欲求)」を喚起するまでの話のもっていき方とは?

   まずA=「Attention(注意)」を引くことから始めます。

   具体的には、提案する製品やサービスのセールスポイントを特徴的な表現で見せるといった手法で、極力印象的に表すことが必要です。故スティーブ・ジョブズ氏がiPhoneの製品発表で、「今日、アップルが電話を再発明します」と言って聞き手を引き付けたように、冒頭で「話を詳しく聞きたい」と思わせることができるか否かが、セールスの成否のカギを握っているともいえるのです。

   「Attention(注意)」がうまくできたら、次はプレゼンテーマに関して、いっそうの「Interest(関心)」を引くような話題に転換します。

   ここが実質的には導入部でもあり、プレゼンテーマに関連してターゲット先の同意やうなずきが得られる、世の中の動きやトレンドなどの話題から入ります。

   たとえば、セールス商材が持つ実現メリットが経費削減であるならば、「コロナ禍での企業経営は、一層の業務効率化や経費圧縮が課題になってはいないでしょうか」というような投げかけをすることで、「経費削減につながることなら聞いてみたい」という関心を引き出すのです。

   こうしてテーマに関する実現メリットに対しての「Interest(関心)」がつかめたら、次はさらに身近な話にすすむことで、「早く提案を聞きたい」という「Desire(欲求)」を喚起します。

   ここで持ち出す身近な話題は、ヒアリングの段階で聞き出した材料を活用してテーマに関するターゲットの「お悩み」です。それを極力正確に復唱して再認識させ、その解決策が欲しいという気持ちに誘導するのです。

   すなわち「Interest(関心)」ステップで意識したコロナ禍で企業の課題となっている業務効率化や削減について、「御社は○○がネックとなって、効率化がすすまず、高コスト体質から抜け出せていないとのことでしたね」といったように、お悩みを確認しつつ解決策への渇望感をあおるのです。

   そのうえで、いよいよ「では弊社から、御社向けのお悩み解決策をご提示します」と提案につなげ、解決策に対する「Action(購買行動)」に至らしめます。以上が、AIDAシナリオでのセールス・プレゼンテーションの流れです。

大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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