2024年 5月 7日 (火)

扶養内で働く3人に1人「年収の壁を気にせず働きたい」 政府、企業助成へ動く!?

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   配偶者に扶養されているパート従業員の就労時間の抑制につながる「年収の壁」の解消に向けて、政府が企業への助成を検討していることがわかった。

   扶養から外れる人の厚生年金など保険料の一部を、勤務先が負担する場合、国が上限を設けて助成。保険料は本来、労使で折半されるが、パート従業員分も国の助成を受けた企業が実質的に肩代わりする案が浮上しているという。

   そうしたなか、多様な家族像の実現に向けた事業を手がけるコネヒト(東京都港区)が、「年収の壁についてのアンケート」を実施。調査によると、扶養内で働く女性の3人に1人が「扶養範囲を気にせず、もっと働きたい」と答えていた。2023年3月15日の発表。

パート従業員に「長く働いてもらう」ことで、人手不足の解消も狙う

   「収入を扶養内に収めるには、どれくらい働けばいい?」と悩む、パートタイムで働く人は少なくない。「扶養内」勤務とは、税金や社会保険のルールに則り、「被扶養者」として働くことをいう。収入を一定以内に収めて扶養内で勤務することで、税金や社会保険料の負担を抑えることができる。

   また、社会保険のルールでは、扶養内で勤務をすると社会保険料の支払いが免除される。

   つまり、収入を扶養内に収めることで、扶養する人の所得税や住民税、社会保険料の負担が軽減できるメリットが見込めるというわけ。そのボーダーラインの一つが、「103万円」や「106万円」といった「年収の壁」だ。

   税金のルールでは、配偶者を扶養している場合は「配偶者控除」または「配偶者特別控除」を、16歳以上の親族を扶養している場合は「扶養控除」を使うことで、扶養している人の課税対象となる所得が減り、納税額が下がる。

   たとえば、夫が会社員、パートで働く妻の年収103万円(基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円を合計)以内の場合、夫は配偶者控除を使えるので、所得税はかからない。

   ところが、妻の年収が103万円を超えると配偶者控除を使えなくなり、103万円を超えた部分に対して5~45%の所得税と、所得税額の2.1%に相当する復興所得税がかかることになる。

   ただし、配偶者控除の代わりに配偶者特別控除を使うことができるので、すぐに税負担が増えるわけではない(扶養する人の税負担が増え始めるのは「年収150万円」がボーダーライン)。

   また、社会保険のルールでは現行、従業員101人以上の企業でパートとして働く場合、年収106万円以上になると会社員として働く夫の扶養から外れ、厚生年金や健康保険、介護保険(40歳以上)の保険料を自ら負担しなければならなくなる。

   このように、一定収入を上回ると税金や社会保険料の負担が発生するため、パートで働く人からは「働き損だ」との声があった。政府は、企業を助成することでパートの手取りの減少を緩和して、長く働きやすくすることで深刻な人手不足を解消する狙いもある。

家族や周囲の協力体制は不可欠!

   そうしたなか、コネヒトの調査によると、現在、扶養内で働いている人に「(今後も)扶養内で働きたいか」と聞いたところ、35.5%が「いいえ」と答えた。3人に1人が「本当は扶養範囲を気にせず働きたいが、扶養内にせざるをえない」現状であることがわかった。

   さらに、「扶養の範囲を気にせず働くために必要なこと」を聞いたところ、じつに84.4%が「家族や周囲との協力体制」と答え、第1位だった。次いで、「子どもの預け先の確保」と「職場の理解」がともに80.0%で続いた。「控除・手当の撤廃あるいは縮小」は40.0%だった。【下図参照】

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扶養の範囲を気にせずに働くには「家族や周囲の協力体制」が必要だ(コネヒト調べ)

   回答者からは、

「お互いの実家で遠方で頼れず、正社員をやめざるを得なかった。自分がフルで働くと家事育児への余裕がなくなってしまう」(30代女性、末子1歳、パート・アルバイト)
「本当は扶養から外れて働きたいが、夫の働き方や職場の理解が今のままでは無理。これらがすべてクリアできるなら、扶養から外れて経済的に自立し、自分が自由に使えるお金と子供の教育費に使いたい」(40代女性、末子2歳、パート・アルバイト)

といった声が寄せられた。

   同社は、

「パートナーの長時間労働によって自分自身が家事育児のほとんどを担っている場合、勤務時間を増やせば家事育児に充てられる時間は相対的に減ります。生活が立ち行かなくなることを懸念し、扶養範囲を気にせず働くことをあきらめてしまうと考えられます。
長時間労働が改善され、家族間で家事育児負担のバランスが最適化されれば、それぞれが希望する働き方が実現できて家計収入を増やすことができるでしょう。
さらに企業視点に立てば、扶養内勤務の人がもっと働けるようになるため、人手不足の解消につながります」

とコメントしている。

   なお、調査は同社のサービス利用者を対象に、2023年3月11日?12日にインターネットで実施した。有効回答数は、1553件。

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