2024年 6月 16日 (日)

バイク王株、11.8%安...「第1四半期決算」大幅減益で売り集める アウトドアブームによる成長に踊り場感?

   中古バイクの買取・販売を手がけるバイク王&カンパニー(東証スタンダード)の株価が、2023年4月5日の株式市場で一時、前日終値比118円(11.8%)安の881円まで急落し、年初来安値を更新した。約1年1か月ぶりの安値となった。

   前日4日に発表した2022年12月~2023年2月期(第1四半期)単独決算で、最終利益など各利益が大幅減益となり、コロナ禍で起きたアウトドアブームによる成長に踊り場感が出て、投資家の売りを集めた。

22年12月~23年2月期「第1四半期決算」、最終利益6900万円 仕入れ価格の上振れが影響

   第1四半期決算の内容を確認しておこう。売上高は前年同期比12.6%増の78億円、営業利益は77.2%減の5700万円、経常利益は83.2%減の1億500万円、最終利益は85.3%減の6900万円だった。

   個人向け、卸売りともに販売台数が伸びたため、売上高は増えたが、仕入れ価格の上振れが影響した。仕入れ台数の確保に注力し、在庫確保に努めたことが、仕入れ価格を押し上げているようだ。

   バイク王は中間期、通期ともに期初に公表した業績予想を変更しなかった。しかしたとえば、営業利益は中間期に9億7000万円、通期で19億円を見込んでいる。

   第1四半期の営業利益は5700万円だから、進捗率は中間期で5.9%、通期では3.0%にとどまる。バイク王は「原価管理の徹底を進めており、(仕入れ価格の上振れ)の課題は改善傾向にある」と説明しているが、先行きに不透明感が漂うのは否めない。

   バイク市場は、コロナ禍で「密を避けられる」として拡大したアウトドアブームの恩恵を受けた。

   警察庁がまとめた2021年(1~12月)の二輪免許新規取得者数の合計は、前年比10.2%増の38万1974人となり、3年連続で増加した。20年ほど長期低落傾向にあったものが明らかに反転している。

   一方、日本自動車工業会によると、国内の二輪販売台数は2021年に前年比13.7%増の41万5892台を記録した。40万台を回復するのは2015年以来、実に6年ぶり。こちらも長期低落傾向から反転した。ただし、勢いは持続せず、2022年は2021年比で数%減ったようだ。

中高年の「リターンライダー」も追い風だったが、コロナ明けでどうなる?

   ちなみにバイク王は、1998年にバイク買取専門店の総合コンサルティング事業を目的として、アイケイコーポレーションとして設立。その後、バイク買取事業を本格展開し、2004年には「バイク王」のテレビCMを開始した。

   2012年に現社名に改称した。仕入れた中古バイクは整備を施してバイク販売店に卸売り、または自社店舗やネットを通じて個人向けに販売する。

   近年では、1960~1990年ごろにバイクブームを経験した中高年が「リターンライダー」として再び当時のバイクを購入するケースが増える、という追い風も吹いた。だが、利益面では足元、急ブレーキがかかっているようだ。

   コロナ禍が収束することも逆風になりかねず、株価は下値を追う可能性もある。(ジャーナリスト 済田経夫)

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