「日本株ブーム」の再来か...。投資の神様と言われ、世界長者番付5位の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本の商社株を買い増したとして注目を集めています。バフェット氏は日本株の「追加投資」もにおわせるなど、強気の姿勢が市場関係者に刺激を与えているようです。海外でも「バフェットが日本に目をつけた!」と話題に。なぜ、歴史的な株高に沸く米国ではなく日本市場に「逆張り」するのか。海外メディアの報道から、「バフェットは日本大好き」の理由が見えてきました。海外メディア「バフェットが日本企業をバーゲンハンティング!」ウォーレン・バフェット氏(92)は、1930年米国生まれの投資家で、世界的な投資会社バークシャー・ハサウェイ社のCEOです。世界で最も裕福な一人として知られており、フォーブス誌が発表した2022年版の世界長者番付では5位につけていました。バフェット氏は、割安な株式に長期投資する投資スタイルで知られていますが、2020年に日本の5大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事)株に投資。日本への初の本格的な投資だと話題になっていましたが、このたび、さらに「買い増し」をして、株式保有比率を当初の5%から7.4%に引き上げたことが明らかになりました。今回の増資で、バークシャー社にとって日本が米国に次ぐ規模の投資先になりましたが、バフェット氏は「価格次第」で日本企業への追加投資に踏み切る姿勢だと複数のメディアが伝えています。なぜ、ここにきて、バフェト氏は「日本推し」の姿勢を強めているのでしょうか。米ブルームバーグ通信がその理由を「分析」していました。Buffett's$4.5BillionJapangainspurshuntformorebargains(バフェット氏、日本で45億ドル稼ぎ、さらなるバーゲン投資先を探る:米ブルームバーグ)ブルームバーグによると、バフェット氏は日本の商社への投資で、2020年以降に推計で45億ドル(約6000億円)を稼いだとのこと。2020年といえば、コロナ禍で株式市場が低迷していた時期です。そんな時期に日本商社を選び、そして着実に利益を得ている同氏の「目利き」に改めて感服します。バフェット氏が、さらなる日本投資を示唆していることについて、ブルームバーグは次のように断言していました。It'seasytoseewhyBuffetthasasoftspotforJapan(なぜ、バフェット氏が日本に目をつけるのか、理由は簡単だ:米ブルームバーグ)hasasoftspotfor~:~に目をつける周囲が投資に尻込みするときでも、割安と判断すれば踏み込んだ資金を投じるのがバフェット式の投資手法だとされています。つまり、2020年に割安の日本株を買って「大儲け」をした同氏が、さらなる投資に意欲を示しているのは、「日本株がバーゲンだから」だそう。「理由なんて簡単。儲かるからだよ」とシンプルに断言されてしまうと、「えっ、そんなもの?」と拍子抜けしますが、歴史的な円安を背景に、海外投資家にとって日本株が「バーゲン」であることは間違いないようです。WarrenBuffettgoesbargainhuntinginJapan'ssogoshoshas(ウォーレン・バフェット氏、日本の総合商社でバーゲンハンティング:米投資メディア)投資をする理由は「儲かるから」だとわかっていても、「投資の神様」が日本企業に魅力を感じて資金を投じる背景に、より深い理由に期待をしてしまいます。それでも、「バフェット氏が日本に追加投資。他の投資家も続け(米投資メディア)」といった報道が相次いでいるように、日本市場に注目が集まっているのは間違いなさそう。さっそく、5大商社株が値上がりするなど「バフェット効果」が市場に与える効果は想像以上かもしれません。アップル社に44%も投資! 「アップル愛」でガラケーからiPhoneに乗り換えバフェット氏は「割安」で買った株を長期保有する手法で知られていますが、価値を認めれば「高級銘柄」を購入することもあるようです。たとえば、同氏は米IT大手アップル社を高く評価。バークシャー・ハサウェイ社のポートフォリオで、アップル株はなんと44%を占めていると報じられています。Appleisoneoftheworld'slargestcompanies.AndoneofApple'sbiggestfanshappenstobeWarrenBuffett(アップルは世界最大企業の一つだが、アップル社の最大のファンの一人がウォーレン・バフェット氏だ:米投資メディア)意外にも、バフェット氏がアップル社に「目をつけた」のは2016年と比較的最近でした。アップル株の購入に踏み切るまで比較的長い時間がかかったようですが、今では非常に高く評価。同社のブランド力、競争優位性、力強い利益成長に感銘を受けて「アップル愛」が深まり、当初使っていた「flipphone」(折り畳み式携帯、ガラケー)からiPhoneに乗り換えた、と伝えられています。アップル社の株は決して「割安」ではありませんが、同社の魅力を知るにつれて投資も増額。「高級銘柄」に資金を投入し続ける理由を、バフェット氏は次のように述べていました。It'sfarbettertobuyawonderfulcompanyatafairpricethanafaircompanyatawonderfulprice(すばらしい企業を適正価格で買う方が、まあまあの企業を割安価格で買うより良い)アップル社のような「wonderfulcompany」(すばらしい企業)は、多少高くても「適正」だと思えば投資を厭わない。「まあまあの企業」を「すばらしい価格=割安価格」で買うよりも良い戦略だ、というバフェット流の投資哲学です。超優良企業を「適正価格」で買い、「まあまあ」の企業を「割安」で買う。今回の日本株投資は後者にあたるかもしれませんが、一見シンプルに映る「バフェット式投資」は、並外れた知識と勝負勘に裏付けられているのでしょう。ちなみに、バフェット氏のアップル社への大きな賭けは実を結んでいて、バークシャー・ハサウェイ社が初めて投資した時から、アップル社の株価は6倍以上に上昇しているそうです。「投資の神様」が目をつける銘柄に世界中の投資家が注目する...。日本株に海外マネーが流入する日は近いかもしれません。それでは、「今週のニュースな英語」は「befarbetterthan」(~よりずっといい)の使い方を学びましょう。シンプルですが、いろんな場面で便利に使える表現です。TheNewStarWarsmoviesisfarbetterthanthelastone(スターウオーズの新作は、前作よりずっといい)iPhone14isfarbetterthaniPhone13(アイフォン14は、アイフォン13よりずっといい)ChatGPTisnotfarbetterthanGoogle(チャットGPTは、グーグルより優れているというわけではない)「投資の神様」は、今回の来日で地方の優良企業にも関心を示したと伝えられています。「バーゲンハント」ではなく、「高値でも価値がある」と評価される日本企業の出現に期待したいところです。(井津川倫子)
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