2024年 5月 4日 (土)

「インボイス」登録に、個人事業主が殺到! 法人の2倍超に急増したワケは?

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   2023年3月末時点のインボイス(適格請求書)制度の登録件数は、累計で268万件に達したことがわかった。

   国税庁の「適格請求書発行事業者の公表情報」の法人及び個人企業の登録情報(2023年3月末)を基に、東京商工リサーチが分析。4月14日に発表した。

   法人登録が進んでいだ一方で、伸び悩んでいた個人事業主が3月に法人の2倍超となる18万1032件の登録があり、累計で85万6060件に達した。

   東京商工リサーチは「(免税事業者と取引がある課税事業者の急激な負担を軽減するために一定期間設けられた)経過措置の効果や取引先からの要請などで、業務委託契約者の登録が押し上げた」とみている。

法人の登録数は3月末時点で182万4807件、登録率97.1%

   インボイス制度は10月1日に運用が開始される新しい仕入税額控除の方式だ。

   曖昧だった項目別の消費税率を明確にするため、現行の請求書に登録番号や税率、税額を追加した「インボイス」を導入する制度となる。ただ、事務処理の負担増や、個人事業主や小規模事業者の収入減への懸念が指摘されている登録の申請期限は当初3月末だったが、9月末まで延長された。

   国税庁によると、この3月末のインボイス制度の登録数(人格のない社団等3348件を除く)は268万867件だった。総務省の「2016年 経済センサス」(活動調査・確報集計〈企業等に関する集計〉)の法人数(187万7438件)を基にした法人の登録数は182万4807件で、登録率は97.1%にのぼった。

   3月(単月)の登録数は、昨年11月(21万713件)をピークに4か月連続で前月を下回り、3月は8万2035件とピークアウトしている。【図表1参照】

   ちなみに、2020年度時点の売上高が1000万円を超える課税事業者数(法人数205万社)との比較では、登録率は89.0%だった。

図表1 インボイス制度の登録件数の月次推移(東京商工リサーチ調べ)
図表1 インボイス制度の登録件数の月次推移(東京商工リサーチ調べ)

取引継続のため、個人事業主の登録さらに増える可能性

   一方、個人事業主の登録は急増。「2016年 経済センサス」による個人事業主数(197万9019件)に基づく登録数は85万6060件で、登録率は43.2%。課税事業者(約110万件の個人事業主)に基づく登録率は77.8%となっている。

   当初の申請期限だった3月末を前に登録が加速したかっこうだが、依然として法人と比べて登録は思うほど進んでいないという。

   個人事業主は、納税が免除されている課税売上高1000万円以下の免税事業者が多い。実数の把握が難しい、企業に雇用されない個人の業務委託契約者なども含めると、個人事業主の免税事業者数は法人数を大きく上回る。

   業務委託契約者を含めた個人事業主の免税事業者から課税事業者への移行は、推計で約150万件が見込まれ、「遅れていた登録件数を押し上げ始めているようだ」(東京商工リサーチ)と指摘する。

   支払事業者側にも課題は多い。

   企業を中心とした支払事業者は、免税事業者と取引を継続すると経過措置もあるが、いずれ税負担が増える。さらに、免税・課税と区分した請求書の管理などコスト負担も重い。

   東京商工リサーチは、

「10月からの制度開始を見据え、負担増の把握とともに免税事業者との取引中止を決定した企業が増えれば、取引を継続するために個人事業主の登録がさらに増加する可能性もある」

とみている。

都道府県別の法人登録 登録率が高い「意外?」な県は...

図表2 都道府県別のインボイス制度の登録率(東京商工リサーチ調べ)
図表2 都道府県別のインボイス制度の登録率(東京商工リサーチ調べ)

   2023年3月末の法人登録数や登録率(いずれも、総務省「2016年 経済センサス」に基づく)を都道府県別にみると、登録数のトップは、東京都の34万5480件。

   次いで、大阪府の15万4446件、神奈川県の10万8611件、愛知県の10万7453件の4都府県が10万件を上回った。5位は埼玉県の8万6851件。【図表2参照】

   登録数が最も少ないのは、鳥取県の6767件。次いで、島根県の8262件、高知県の8461件、佐賀県の8739件の4県が1万件を下回り、徳島県の1万202件で5番目に少なかった。

   登録率は、東京都が127.1%で最も高かった。次いで大阪府の110.5%、3位は千葉県の101.0%、4位は福岡県の100.8%、5位は沖縄県の99.6%だった。

   一方、登録率の最低は、島根県の73.7%で、秋田県の76.3%、山形県の76.5%、新潟県の78.2%、山口県の78.6%と続いた。さらに、長崎県(78.8%)や鳥取県(79.1%)、佐賀県(79.5%)の地方8県が80%を下回り、登録率が伸び悩んでいる。

   また、国外に本社を構える企業の登録数は1324件だった。

   東京商工リサーチは、登録数が法人数を上回った都府県は、分子の法人数が統計時点より新設された法人、個人企業から法人化した企業が増えたためとみている。

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