2024年 5月 6日 (月)

Xデー迫る「米債務上限問題」 ともに強硬派抱える共和・民主のチキンゲーム...エコノミストが指摘「4つのシナリオ、1つ以外は世界経済の悪夢」

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大統領選控え、危険なチキンゲームの構図

バイデン大統領(ホワイトハウス公式サイトより)
バイデン大統領(ホワイトハウス公式サイトより)

   こうした膠着状態をエコノミストはどう見ているのか。

   ヤフーニュースコメント欄では、ソニーフィナンシャルグループのシニアエコノミストの渡辺浩志氏が、

「共和党は債務上限に対応する条件として、厳しい歳出削減を求め、バイデン大統領の目玉政策(気候変動対策や学生ローンの免除措置等)を骨抜きにする狙い。来年の大統領選を前に債務上限問題が政争の具と化しており、両者とも容易には譲歩しない姿勢です」

   と、米大統領選挙が対立をあおっている構図を指摘。つづけて、

「世論の逆風や、それを巻き起こすほどに厳しい市場の警告(金利急騰や株価急落など)が発せられない限り、チキンゲームは終わらない恐れがあります。仮に米国債がデフォルトに陥ったり、格下げが行われたりする場合には、債券安・株安・ドル安のトリプル安や、金融不安再燃の恐れもあります」

   と危機感を募らせた。

   同欄では、成蹊大学法学部政治学科の西山隆行教授(アメリカ政治)が、

「両党の指導者はデフォルトの危険性を痛感しているため、協議は『生産的』だったと発言しますが、共に党内に妥協を嫌う人々を抱えているため、その反発を避けるためにも『進展』はないと言わざるを得ない状況です。
連邦政府の債務が増え続ける最大の要因は、年金とメディケア(高齢者向け医療保険)の費用が増大しているためで、それは少子高齢化が進むと避けることはできません。共和党はバイデン政権の目玉政策をやり玉に挙げて支出削減を求めますが、根本的要因である年金とメディケアには手を付ける意思はありません」

   と、民主・共和両党の党内事情を説明。そのうえで、

「歴史的にも、政権党が債務上限増大を求め、非政権党が支出削減を求めるというパターンが見られました。例えば2006年にはイラク戦争などの戦費が増大するなか、ブッシュ政権が債務上限増大を求める一方で、当時上院議員であった民主党のオバマ氏は無駄の削減を求めていました。Xデーまでに妥協をしてデフォルトを回避していただきたいものです」

   と妥結を訴えた。

危機意識が高まったウォール街
危機意識が高まったウォール街

   同欄では、上智大学総合グローバル学部学部長の前嶋和弘教授(アメリカ政治外交)が、

「アメリカだけでなく、世界経済を人質にしたぎりぎりの攻防が続きます(いうまでもないのですが、日本の米国債保有残高は国別ではトップ。デフォルトなら未曾有の影響)。日本国内には楽観論も一部にありますが、分極化の時代を背景にバイデン大統領とマッカーシー下院議長がこの件で最初に話した1月から、共和党下院の無理やりともいえる法案が出た4月末まで議論そのものが全く進みませんでした」

   と、土壇場にくるまで双方が放置した責任を批判。そして、

「民主党側が譲歩する支出削減額も出ていますが、これに対するリベラル派の反発も党内にあります。マッカーシーの背後には、1月の議長選挙に反対から妥協し白票を投じた数人の保守強硬派もいます。なかなか難しい展開」

   と、ギリギリまで先行きが読めない展開だとした。

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