2024年 4月 19日 (金)

米債務上限問題、解決後が怖い「リーマンショック級の金融不安?」...エコノミストが指摘「米国債発行の津波が、銀行破綻のリスクを高める理由」

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   米国の国債が史上初めてデフォルト(債務不履行)に陥るのではないか、と心配された米債務上限問題。

   2023年6月3日、バイデン大統領が上限の適用を停止する法案に署名、決着した。とりあえず、世界経済の大惨事は避けられたが、安心するのは早いようだ。

   米国債新規発行の津波が市場に押し寄せ、金融不安を引き起こすリスクがあるという。いったい、どういうことか。米経済メディアとエコノミストのリポートから読み解くと――。

  • 米国国旗
    米国国旗
  • 米国国旗

ウォール街「これほどの流動性縮小は、リーマン危機級」

   米経済メディア「ブルームバーグ」(6月4日付)「1兆ドルの米国債の津波が流動性吸い上げへ―すべての資産クラスに影響」によると、債務上限問題の決着を受け、米財務省は新規国債を大量に発行する計画だ。発行額は7~9月末までに1兆ドルを超える可能性がある。

   銀行にある預金がこの購入に充てられると、流動性が低下する見込みだ。だが、市場に準備ができていないため、これによる負の衝撃は、米債務上限をめぐる前回の株価暴落の危機(2011年)の後遺症をはるかに上回る恐れがあるという。

   その理由として、ブルームバーグは、FRB(連邦準備制度理事会)の量的引き締め(QT)プログラムがすでに銀行の準備金を減少させているうえに、資産運用会社が景気後退に備えて現金を抱え込んでいるからだ、と指摘する。

   つまり、金融機関には、大量の国債を購入する資金の余裕が不足しているわけだ。もし、銀行が買わない場合でも、一般の顧客が銀行預金から国債購入に資金を移すと、銀行の預金が一気に減り、混乱を引き起こす。

   ブルームバーグは、ウォール街のアナリストたちの悲観的な見通しをこう伝える。

JPモルガン・チェースのストラテジスト、ニコラオス・パニギリツオグル氏「米国債の洪水がQTの影響に加わり、株式と債券を合わせた今年のパフォーマンスを約5%押し下げるだろう」「これほどの(流動性)縮小が見られるのは、リーマン危機のような重大な衝撃の時だけだ」
シティグループ・グローバル・マーケッツのグローバルマクロ戦略責任者、ダーク・ウィラー氏「銀行の準備金の縮小は常に逆風だ」
姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中