2024年 5月 19日 (日)

いまだに残っている?! 面接官の不適切発言「女性だから~」「恋人はいる?」「かわいいね」

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   大学生の就職活動がいよいよ本番を迎え、(2023年)6月1日から採用面接が始まったが、「面接で、 不適切だと思う質問や発言をされた」人が2割にのぼることが、日本労働組合総連合会(連合、東京都千代田区)の調査でわかった。2023年5月31日の発表。

   採用選考にあたっては、応募する人の人権を尊重すること、また適性や能力のみを基準とすることを原則としている。なかでも、昨今はジェンダー平等の意識の広がりから、面接での性別に関する質問は、就職差別につながる恐れがあるとされた。

   企業側の意識も改善され、こうした質問はだいぶ減ってきているものの、調査では32.8%の人が就職活動で男女差別を感じたことが「ある」と答えていた。

「性別」「出生地」「収集してはならない情報」の記入求められていた

   連合は、採用選考における就職差別の実態を把握するため、コロナ禍前に「就職差別に関する調査 2019」を実施。2回目の今回は、最近3年以内に就職のための採用試験(新卒採用、または中途採用)を受けた、全国の15歳~29歳の男女を対象(有効回答は1000人)とした。

   調査では、採用試験で「応募書類やエントリーシート(インターネットの応募画面での入力を含む)で記入を求められた内容」について聞いたところ、最も多い80.5%の人が「性別」と答えた。

   これは前回調査(2019年)の91.2%から、10.7ポイントと大きく減ったものの、なお8割を超える企業で記入を求めていた。第2位の「本籍地や出生地に関すること」は43.6%で、前回の56.4%から12.8ポイント減った。

   第3位には「家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)」の37.2%。「生活環境・家庭環境などに関すること」(24.8%)が続いた。

   「人生観、生活信条に関すること」(20.4%)や「労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること」(18.9%)、「思想に関すること」(16.6%)、「支持政党に関すること」(9.9%)、「宗教に関すること」(9.0%)といった、個人の思想を推し量りうることについて記入を求められたケースもみられた。

   こうした内容は、いずれも応募した人の適性や能力に関係がない情報のため、採用活動時に収集してはならない情報とされているが、実際には記入を求められていることが明らかとなった。

   また、「採用試験の面接で質問されたことがあるもの」を聞いたところ、「転勤ができるかどうか」聞かれたと答えた学生が43.3%、「残業や休日出勤ができるかどうか」が42.8%と、特に高くなった。転勤や所定外の労働の可否を聞かれた人は少なくない。

   次いで、「家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)」(37.7%)、や「性別」(28.6%)、「本籍地や出生地に関すること」(28.3%)、「生活環境・家庭環境などに関すること」(28.1%)、「婚姻状況(未婚・既婚)」(27.1%)と続いた。

   さらに、「結婚後や出産後の継続就労希望の有無」(22.2%)や「結婚の予定」(19.2%)など、結婚・出産に関することへの質問が多かった。また、質問された内容が男性と女性では異なっていることがわかった。

「結婚・恋愛」は不適切 男女問わず質問された

   回答者(n=1000人)に、複数の内容を提示し、「面接官が面接で聞いてはいけない質問だと思うもの」を聞いた。

   それによると、「宗教に関すること」が56.7%、「支持政党に関すること」が50.1%と、半数を超えた。面接で宗教や政治について質問するのはNGだと考える人が多数派のようだ。「思想に関すること」と答えた人も41.4%だった。

   最も低かったのは「尊敬する人物に関すること」(11.0%)で、約1割にとどまった。

   また、面接官が面接で聞いてはいけない質問を、どのようにして知ったか」(n=821人)聞いたところ、「ホームページやSNSで見た」と答えた人が27.5%と最も多く、WEBサイトの閲覧やSNSの利用など、インターネットから情報を得た人が多いことがわかった。

   「テレビで観た」が23.0%、「学校で教えてもらった」21.7%、「友人・知人に教えてもらった」19.7%、「家庭(親や兄弟など)で教えてもらった」の14.6%が続いた。

   次いで、「採用試験の面接で、不適切だと思う質問や発言をされたことがあるか」と聞いたところ、「ある」と答えた人は19.5%と、2割に迫った。「ない」は80.5%となった。

   採用試験の面接で不適切だと思う質問や発言をされたことがある人(n=195人)に、「どのような内容だったか」聞いたところ、「女だから」といった性別を理由にした決めつけをされたり、恋愛・結婚について踏み込んだ質問や発言をされたりしたケースが多かった。

   具体的には、

「『女性だからどうせ辞める』と言われた」(25歳女性)
「『女のくせに』と性別に関する発言が飛び出たので腹が立った」(24歳女性)
「恋人の有無を聞かれた」(28歳男性)
「『かわいいね』と容姿を褒めてくる場面があった」(23歳女性)
「親の会社について聞かれた」(28歳男性)
「好きな芸能人を聞かれ、それに対し否定的なことを言われた」(26歳男性)

   などがあった。【図参照】

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図 恋愛・結婚についての質問は「不適切」では(連合調べ)

   さらに、不適切だと思われる質問・発言があった企業を、業種別に聞いた(n=195人)ところ、最も多かったのは「医療、福祉」の14.9%だった。

   次いで、「サービス業(他に分類されないもの)」が13.8%、「建設業」13.3%、「情報通信業」10.3%、「製造業」9.7%「金融業・保険業」の9.2%が続いた。

   「卸売業・小売業」と「宿泊業・飲食サービス業」「教育・学習支援」が、それぞれ7.7%。「電気・ガス・熱供給・水道業」が6.7%だった。

「学歴フィルター」感じたことが「ある」人は40.4%

   回答者(n=1000人)に、「応募書類・エントリーシートの提出や採用面接で、知られたくない、あるいは企業に示す必要がないと思うこと」を聞いたところ、「他社の選考状況」(37.7%)が最も多かった。男女別にみると、43.2%の女性が「他社の選考状況」と回答(男性は32.2%)。全体と比べて5.5ポイント高かった。

   他にどの企業の採用試験を受けているかということや、どの段階まで進んでいるかということなどを伝える必要性はないと考えている人が多いようだ。

   次いで、「趣味・特技」(18.0%)、「顔写真」(16.2%)、「学校生活・学生生活に関すること」(14.9%)、「学歴」(14.2%)となった。

   就職活動では、いわゆる「学歴フィルター」の問題も。企業側が応募した人を出身校などで振り分け、特定の大学の学生しか説明会やセミナーに参加できないなど、採用選考の対象とするかどうか決める、というものだ。

   今回の調査でも、「『学歴フィルター』を感じたことがあるか」との問いに、「ある」と答えた人は40.4%。4割の人が「学校名でふるいにかけられている」と実感していることがわかった。「ない」と答えた人は59.6%。

   最終学歴別にみると、「ある」と回答した人は、中学校卒で45.2%が最も高くなり、4年制大学・大学院が43.9%、専門学校・短期大学は36.6%、高等学校33.6%と続いた。

   また、「男女差別を感じたことはあるか」(n=1000人)を聞いたところ、「ある」と答えた人は32.8%、「ない」は67.2%となった。

   さらに、就職活動をしていて「男女差別」を感じたことがある人(n=328人)に、その内容を聞いたところ、最も多かったのは「男女で採用職種が異なっていた(男性は総合職、女性は一般職など)」(39.6%)だった。

   男女雇用機会均等法では、たとえば採用職種の対象を男女で異なるよう制限するなど、採用時に性別を理由とする差別が禁止されている。

   次いで多かったのは、「男女で採用予定人数が異なっていた」(36.9%)だった。「男性のみ、または女性のみの募集だった」が30.8%、「男女で制限条件が異なっていた(婚姻の有無や自宅通勤者限定など)」が22.0%、「男女で年齢制限が異なっていた」の18.6%が続いた。

「コロナ差別」「裏アカ調査」1割が「ある」と回答

   回答者(n=1000人)に、「新型コロナウィルス感染症に関わることを理由とした差別を受けたことはあるか」聞いたところ、「ある」と答えた人は10.1%、「ない」は89.9%だった。

   受けた差別の内容をみると、

「『近づかないで』と言われた」(22歳男性)
「コロナにかかったことを伝えると嫌な顔をされた」(23歳女性)
「暴言を言われた」(23歳女性)
「汚いもの扱いをされた」(26歳女性)
「避けられた」(25歳女性)
「コロナのせいで学校生活が楽しめなかったと決めつけられた」(18歳女性)

   といった合理的でない内容だった。

   また、コロナ禍でのWEB面接の導入を機に、採用の自由の一環として、応募した人の匿名のSNSアカウント(いわゆる「裏アカ」)を調査する企業が見られるようになったが、身元調査にもなりうることから、新たな就職差別につながる恐れもあるとの指摘がある。

   回答者(n=1000人)に、採用の選考過程で、「企業からSNSアカウントを調査する旨の通知を受けたことがあるか」聞いたところ、「ある」と答えた人は11.7%、「ない」は63.3%だった。「わからない」という人も25.0%いた。

   また、採用選考の過程で、企業からSNSアカウントを調査されたことが「ある」と答えた人は10.7%。「ない」は60.0%だった。「わからない」は29.3%。

   さらに、企業からSNSアカウントを調査する旨の通知を受けたことがある人(n=117人)のうち、実際にSNSアカウントを調査された人は65.8%にのぼった。事前の通知どおり、SNSアカウントの調査が行われたケースは多いようすがうかがえる。

   なお、調査は最近3年以内に就職のための採用試験(新卒採用試験、または中途採用試験)を受けた、全国の15歳~29歳の男女を対象に、2023年4月1日~4日にインターネットで実施した。

   有効回答者数は1000人。そのうち、最終学歴が中学校の人は31人、高等学校の人は214人、専門学校・短期大学の人は161人、4年制大学・大学院の人が588人だった。

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