2024年 4月 24日 (水)

ヘンリー王子、相手弁護士は「法廷の獣」の異名 8時間の尋問で「大変だった」と感極まる姿に、海外メディアは意外な反応!?(井津川倫子)

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   英王室を離脱したヘンリー王子が、「盗聴」などの違法な取材手法に対して地元メディアなどを訴えている裁判で証言をしました。

   英王室メンバーが法廷に立つのはエドワード7世以来132年ぶりとあって、「異例の事態」に各国メディアは大わらわ。2日間でのべ8時間に及んだ尋問の一問一答を、まるでサッカーワールドカップの決勝戦のようにタイムラインで速報していました。

   学生時代から「盗聴」され続けてきたと主張するヘンリー王子と「証拠を出せ」と詰め寄る相手方弁護士との対決は、まるでドラマのよう。「法廷の獣」と「セレブ御用達」、双方弁護士の対決も見どころがいっぱいです。

   果たして、勝利の女神はどちらに微笑んだのでしょうか?

ヘンリー王子「僕の人生はずっと盗聴され、人間関係をズタズタにされてきた」

   ヘンリー王子が「ボイスメッセージを盗聴された」として訴えているのは、大衆紙ミラーなどを発行している新聞社ミラーグループ・ニュースペーパーズ(MGN)です。

   ヘンリー王子は、1996年から2010年にわたって、MGNが出した約140の記事が違法な手段で入手した情報をもとにしていると主張。先日、裁判に出廷して証言をしました。

Prince Harry was cross-examined over phone hacking claims in UK
(ヘンリー王子が英国で、電話の盗聴について厳しく追及された:米CNN)
cross-examine:厳しく追及する

   今回、各国メディアが注目しているのは、ヘンリー王子が法廷で自分の主張を訴えるだけではなく、相手方弁護士から「cross-examined」(厳しく追及される)という、異例の事態になっていることです。王室を離脱したとはいえ、現国王の次男が「尋問される」ことは、歴史的に見ても相当レアなケースでしょう。132年ぶりというのもうなずけます。

   報道によると、ヘンリー王子はイートン校在学中にサッカーで骨折したことや、当時のガールフレンドとの交際をめぐる話題はごく限られた人しか知りえない情報であり、MGNが報じた記事は「電話を盗聴した情報に基づいている」と主張。

   さらに、「携帯電話を持ち始めたころから、ずっと盗聴され続けてきた」「親しい人との人間関係も、メディアのゴシップ記事でズタズタにされた」など、メディアによって人生がゆがめられてきたことを生々しく語ったそうです。

   こうしたヘンリー王子の証言に対して、MGN側の弁護士アンドリュー・グリーン氏は、「誰の電話が盗聴されたのか?」など、証拠の提出を迫る手法を展開。「わからない」と答えるヘンリー王子に向かって、「それでは答えになっていない」「完全な憶測の世界だ」と、詰め寄ったとも報じられています。

   また、なぜ、今になって裁判に踏み切ったのかという尋問に対して、ヘンリー王子は「メーガン妃とのバカンス中に、弁護士のデヴィッド・シャーボーン氏に偶然会ったから」と、その理由を語ったそうです。シャーボーン氏は、ダイアナ元妃やトニー・ブレア元英国首相らをクライアントに持つ「セレブ御用達」で知られる弁護士です。

   MGN側のグリーン氏は、シャーボーン氏と出会った経緯を法廷でつまびらかにすることで、ヘンリー王子が「バカンス先で偶然会った」セレブ弁護士に「そそのかさされて」、「証拠不十分なまま」裁判に踏み切った、という印象を植えつける戦術だったのでしょうか。

   少なくとも、シャーボーン氏と出会う前のヘンリー王子は、メディアを訴えることも弁護士を雇う準備もしていなかったことが明らかになりました。

   こうしたまるでドラマのような法廷論争を、米CNNテレビは「The courtroom saga」(法廷の大河ドラマ)と称していますが、ヘンリー王子の戦いはどのような結末を迎えるのでしょうか。

   ヘンリー王子は、他にも「メディア王」ルパード・マードック氏が率いるニュースグループに対しても訴訟していますから、当面の間戦いは続きそうです。各国メディアがネタに困ることだけはないでしょう。

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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