2024年 5月 20日 (月)

企業の「ChatGPT」利用率に大差、日本7%、米国51%! 日本経営層の関心、米国の半分以下...利用も事務ばかり、米国はクリエイティブなのに

   対話型生成AI(人工知能)「ChatGPT」がニュースにならない日はないが、国際的にみて日米企業での利用はどの程度進んでいるのだろうか。

   ICT市場調査コンサルティングの「MM総研」(東京都港区)が2023年6月12日、「ChatGPT」の発祥地である米国企業と比較した「日米企業におけるChatGPT利用動向調査(2023年5月末時点)」を発表した。

   それによると、日本の「ChatGPT」利用率は7%なのに対し、米国は51%と大差がついた。なぜ日本はこれほど遅れている?

  • 日本とアメリカ(写真はイメージ)
    日本とアメリカ(写真はイメージ)
  • 日本とアメリカ(写真はイメージ)

画像系など各分野のAI利用率でも、日米に大差が

   MM総研の調査は、日本と米国の企業・団体に所属する従業員1万3814人(日本1万3412人、米国402人)が対象だ。米国を比較の対象に選んだのは、「ChatGPT」を開発した「OpenAI」(オープンエーアイ)社が米国に本拠を置くからだ。

   まず、ビジネスにおけるChatGPTの利用率を聞くと、日本では7%とまだ大きく広がっておらず、新しいテクノロジーなどを積極採用する初期採用層が利用している状態にとどまる。また、「知らない」が46%と半数近くを占め、知っていても「利用していない」が42%となった【図表1】。

(図表1)日米のChatGPTの利用率比較(MM総研の調査)
(図表1)日米のChatGPTの利用率比較(MM総研の調査)

   一方、米国では利用率が51%と、日本を44ポイントも上回る。すでに多くの企業で利用されており、「知らない」も9%にとどまる【再び図表1】。

   この傾向は生成AI全般に共通する特徴で、「ChatGPT」をはじめとする言語系AIだけでなく、「Stable Diffusion」や「DALL・E」といった画像系など各分野のAIでも利用率に大差がついた【図表2】。

(図表2)日米の各生成AIの利用率比較(MM総研の調査)
(図表2)日米の各生成AIの利用率比較(MM総研の調査)

   これほど大差が出た要因の1つに、経営層の関心度合いの違いがあげられる。

   米国では6割以上の経営層が「ChatGPT」に強い関心を持っているのに、日本の経営層は米国の半分以下だった。また、有料のアカウントやAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を整備するなど企業のAI利用環境の進み具合でも日米で大差が開いた。

   次に、日本で「ChatGPT」利用率の高い属性を見ると、従業員が多い大企業であること、職階では経営層や管理職と上位であることがあげられる。業種ではエネルギーや水といったインフラ系、学術研究、情報通信などが平均値(7%)よりも2~3ポイント高い【図表3】。

(図表3)日本の属性ごとのChatGPTの利用率比較(平均値7%)(MM総研の調査)
(図表3)日本の属性ごとのChatGPTの利用率比較(平均値7%)(MM総研の調査)

   一方、卸・小売業、不動産業、そして自治体や中央官庁などの行政は平均値より低い。部門では人事が24%と平均よりも突出して高い【再び図表3】。

   こうした結果から、「ChaGPT」を利用する目的は、日米ともに「既存業務の効率化」が大半を占め、「新規事業での活用」や「教育・研修の高度化」は次なる目標として位置づけている。

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