2024年 5月 20日 (月)

多くのサービスを1つのアプリで使える話題の「スーパーアプリ」 日本で「知っている人」4人に1人、「使いたい人」4割...そのポテンシャルとは?

   「スーパーアプリ」はご存じだろうか。1つのアプリの中に、さまざまなサービスのアプリが入った優れモノで、近年、経済成長が著しいアジア諸国を中心に広がっている。

   日本での普及はどのくらいのものか。モバイル専門の市場調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2023年7月21日に発表した「スーパーアプリに関する利用実態調査」によると、知っている人はまだ4人に1人。しかし、利用したいという人は4割に達した。これって多いの? 少ないの?

  • スーパーアプリって便利ね、と喜ぶ女性(写真はイメージ)
    スーパーアプリって便利ね、と喜ぶ女性(写真はイメージ)
  • スーパーアプリって便利ね、と喜ぶ女性(写真はイメージ)

1つのアプリの中に、多くのミニアプリが集合した優れモノ

   「スーパーアプリ」とは、1つのプラットフォームとなるアプリ内に、人々の生活に役立つさまざまなジャンルの機能(アプリ)を搭載した統合サービスのことだ。いわば、ミニアプリの集合体だ。

   たとえば、SNS、スマホ決済、EC(電子商取引))、保険の申し込み、公共料金の支払い、投資やローン申請、フードデリバリー、シェアカーやシェアサイクルの利用、タクシーやその他交通予約などのサービスアプリが入っている。そのため、新しいアプリを1つひとつダウンロードしたり、IDやパスワードを作成したりする手間が省ける。

   旅行アプリを例にとると、友人と旅行の予約からタクシーやホテルの手配、必要なグッズの通販、さらには現地で使うキャッシュレス決済も1つのアプリで済んだらとても便利だ。

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さまざまな機能のミニアプリが入ったスーパーアプリ(写真はイメージ)

   「スーパーアプリ」は欧米よりも、アジア諸国で広がっており、日本では「LINE」が代表格だろう。従来のチャットや電話に加え、ニュース、音楽、漫画、買い物、決済など、さまざまなサービスを次々と提供している。中国では「WeChat」(ウィーチャット)と「Alipay」(アリペイ)が2強だ。インドネシアでは「Gojek」(ゴジェック)が普及している。

   スーパーアプリが注目されるのは、最近、日本国内でも開発の動きが加速しているからだ。政府が推進しているキャッシュレス決済の普及には、訪日外国人の増加とともにスーパーアプリの存在が欠かせなくなっている。

スーパーアプリで利用したい機能、「おカネ」がメイン

   MMD研究所の調査は、15歳~69歳の男女7000人が対象だ。まず、スーパーアプリに概要について説明した後、「知っているかどうか」を聞くと、約4人に1人の23.4%が「知っている」と答えた。

   また、「利用したいかどうか」を聞くと、「知っている」「知らなかった」を問わず、全体の4割以上の42.1%が「利用したい」と答えた【図表1】。

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(図表1)スーパーアプリの認知と利用意向(MMD研究所の調査)

   これを性別年代別にみると、認知度は男性20代(33.9%)が最も高く、次いで男性30代(32.7%)、男性40代(31.1%)、男性10代(29.8%)と、全体的に男性が高い。女性では10代(28.3%)が突出して高いことが目立つ。

   一方、スーパーアプリの利用意向を性別年代別にみると、面白い結果が出た。認知度は別に、女性10代(52.2%)、男性10代(50.4%)と、男女ともに10代が5割を超えてダントツに高いのだ【図表2】。若い人ほど、新しいアプリを試してみたいと意欲的なのだろうか。

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(図表2)性別年代別のスーパーアプリの利用意向(MMD研究所の調査)

   若い人たちは、何に利用したいのだろうか。

   スーパーアプリで利用したい機能を聞くと(複数回答可)、「ポイント管理・運用」(49.1%)が最も多く、次いで「クーポン」(44.9%)、「店頭・オンラインでのキャッシュレス決済」(40.0%)、「ショッピング・EC」(37.9%)と、ポイントや決済、ショッピング関連が上位に並んだ【図表3】。

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(図表3)スーパーアプリで利用したい機能(MMD研究所の調査)

   このことは、利用したい理由を聞いても明らかだ(複数回答可)。

   「ポイントを貯めやすいと思う」(45.6%)が最も多く、次いで「たくさんのアプリをインストールしなくて済む」(43.1%)、「たくさんのアプリを使い分けなくて済む」(42.1%)が上位に並び、短い時間で多くのポイントをゲットできるコストパフォーマンスの良さがスーパーアプリのメリットと理解しているようだ【図表4】。

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(図表4)スーパーアプリを利用したい理由(MMD研究所の調査)

毎日使うアプリのトップ3位「SNS」「ニュース」「天気」

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スーパーアプリを操作(写真はイメージ)

   さて、スーパーアプリの特徴にミニアプリの集合体という機能があげられるが、みんな毎日利用しているアプリはどのくらいあるのだろうか。

   スマホで毎日利用しているアプリの個数を聞くと、「10個以上」と答えた人は22.2%、「7個」~「9個」が合わせて6.9%、「4個」~「6個」が30.9%、「1個」~「3個」が34.1%と、「7個以上」を毎日使っている人が約3割(29.1%)に達した【図表5】。

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(図表5)毎日利用しているアプリの個数(MMD研究所の調査)

   これだけの個数のアプリが、統合されていれば、たしかに便利かもしれない。では、普段利用しているアプリや、アプリ内機能の種類は何が多いのだろうか。

   【図表6】のランキングがその結果だが、毎日利用している上位を見ると、「SNS」「ニュース」「天気」「ポイント管理・運用」「ゲーム」などが並ぶ。上位3つは、毎日のチェックが欠かせないものだ。

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(図表6)普段利用しているアプリ・アプリ内機能(MMD研究所の調査)

   一方、週1回程度は利用するランキングを見ると、「キャッシュレス決済」「ショッピング」「天気」「クーポン」「クレジットカード管理」など、「おカネ」関連が上位に入ってくる。

   定期的な「おカネ」のチェックも重要だ。そして、週1回程度は利用するランキングを見ると、「グルメ」」「美容」「旅行」などのレジャー関連が上位に入ってくる【再び図表6】。

   このように、アプリを短期や中長期の時間軸で使い分けていることがわかる。それを、1つに統合する「スーパーアプリ」の普及は、わたしたちの生活をどう変えていくのだろうか。

   調査は2023年6月29日~30日、全国の15歳~69歳の男女7000人にインタネットを通じてアンケートを行なった。(福田和郎)

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