健康経営優良法人の認定を目指す企業経営者にヒントを――。そんな思いのもと、連載中の「健康経営のススメ!」。
これまでに認定を受けた企業や、積極的に健康経営を推進している企業の先進事例のほか、コロナ禍で社会的課題となった従業員のストレス対策として、産業医のアドバイスを有効活用する企業の事例など、できるだけ具体的なノウハウに焦点を当ててきた。
第16回は、「安全で快適な生活環境の整備を通じて社会の持続的発展に貢献する」ことを、企業活動の大きな目標としている株式会社中村建設。
従業員は17人。経済産業省の健康経営優良法人2022、2023に連続認定されている。代表取締役社長の中村真典(なかむら・まさのり)さんに話を聞いた。
健康課題と真摯に向き合い、社員・地域と共存共栄へ
――健康経営を導入されたきっかけをお教えください。
中村社長 従来より社員の健康に気を配り、協会けんぽによる健康診断や、保健師による保健指導は行っていました。
しかし、我が社も働き盛りの社員の高齢化が進み、それぞれが何らかの健康課題を抱えていました。そのようなおり、アクサ生命の健康経営アドバイザーの方から、「社員の健康と働きがい」、そして「生産性向上」を結び付ける「健康経営」のお話をうかがい、取り組むことにしました。
今年で、4年目に入ります。持病を悪化させないためにも、健康課題と真摯に向き合い、社員・地域と共存共栄していくうえで、「健康経営」は欠かせないものと考えています。
――女性に優しい職場づくり、ワークライフバランスに配慮した取り組みをされているそうですね。
中村社長 当社の勤務時間は、8:00~17:00(休憩90分)ですが、女性社員の勤務開始は、9:00とし、育児や家事で忙しい女性のために配慮しています。また、2022年4月より週休2日制を導入。高齢化により、家族の介護に奮闘している社員もいます。介護や持病のある社員も、全員が働きやすい職場、健康で「安全第一」の職場作りに取り組んでいます。
また、地域に貢献するため、子供たちを地域全員で育てるため、小中学校でのボランティア活動にも力を入れています。手前味噌ですが、役員でもある妻は、長年の夢「小売店」をオープンしました。よもぎ餅・弁当・焼き立てパン等を仕入れ、趣味で桑茶を作り、栽培している「たんかん」と一緒に販売しています。地域の方、観光客の方にも喜んでもらっています。常に、生き生きと働く社員や妻には、感謝しかありません。
「技術伝承」「ワークエンゲイジメント」を高め、成長の好循環を
――健康経営で「技術伝承」「ワークエンゲイジメント」を高め、成長の好循環を生み出す工夫をされておられますね。
中村社長 我が社は、昭和39年(1964年)9月24日の創業以来、多くの公共工事を手掛けてきました。これまでの技術の伝承と共に、現在は、ドローンやiPad、測量機器の杭ナビを駆使し、効率性も追求しています。
3年前に、3Dスキャナーや杭ナビという測量機器を導入。一人でも、測量ができる環境を整えました。来年は、ICT測量にも力を入れて行く予定です。社員には、「時代の変化を鋭く捉えて」「仕事に前向きに取り組む」姿勢を、常に持ち続けてほしいと願っています。また、必要な資格試験なども、全額会社負担で支援・応援しており社員自ら向上し続けるためのサポートを行っています。
今後も「健康経営」&「働き方改革」で、全員の「ワークエンゲイジメント」を高め、会社の業績アップにもつなげていきます。
――禁煙外来の費用補助や「健康だより」を発行されているそうですね。
中村社長 昨年(2022年)、初めて健康経営優良法人認定を取得することができました。社内「安全大会」で健康セミナーを実施した折には、社員の健康意識が向上していることを実感し、大変嬉しく思いました。
当社は喫煙率が高かったため、禁煙を決意した社員を支援するために禁煙外来の費用を全額補助しています。また、総務部発行の「健康だより」も4年目を迎え、今では皆、読んでくれるようになりました。
――今後の展望をお聞かせください。
中村社長 健康経営を通し、仕事と治療の両立、心身健康で働きやすい会社を目指し、社員・家族・会社の幸せに繋げて行きたいと思います。
――ありがとうございました。
【会社概要】
株式会社中村建設
代表取締役社長 中村真典さん
・本社所在地 鹿児島県大島郡宇検村
・主な事業内容 建設業
・従業員数 17名(男性:13名・女性:4名)
・健康経営優良法人 2022、2023連続認定