米政府閉鎖の世界経済リスク迫る! エコノミストが指摘「国債格下げで、大幅株安ドル安に」「経済指標発表延期...身動き取れないFRB、混乱に拍車」

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経済指標失い動きを封じられるFRB、金融危機に拍車

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米国経済はどうなる(写真はイメージ)

   現在の民主党と共和党、さらに共和党内穏健派と強硬派との激しい対立を踏まえれば、トランプ政権下の過去最長の34日間を超える可能性も――。それに言及するは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏はリポート「米国で政府閉鎖(ガバメント・シャットダウン)の可能性高まる:長期化すれば世界の経済、金融市場に大きな影響」(9月28日付)のなかで、こう指摘する。

「米政府支出はGDPの約4分の1を占めていることから、その支出が滞ることは、直接GDPを押し下げる。2019年に5週間続いた政府閉鎖では、経済損失が約110億ドル生じた。しかし今回は、閉鎖が適用される政府機関の数が増えることが見込まれることから、より重大な損失を引き起こしかねない。
昨年来の物価高騰、大幅利上げに加えて、足もとでは自動車労働者のストライキ、連邦学生ローンの返済再開などが米国経済の逆風となっている。政府閉鎖の不確実性がこれらに加わることになる」

   木内氏が最も懸念を示すのが、金融市場への打撃だ。

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米国連邦議会議事堂
「政府閉鎖は経済に加え金融市場にも大きな影響を与えうる。米格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、米政府が閉鎖になれば米国債の信用力に打撃と表明している。明言はしていないが、政府閉鎖が長期化すれば、米国債の信用格付けを最高位から引き下げる可能性がある。
フィッチ・レーティングスは、債務上限問題を受けて、今年8月に米国債の格付けを最高位から1段階引き下げた。S&Pグローバル・レーティングは2011年の債務上限問題の際に、米国債の格付けを最高位から1段階引き下げている。大手格付け3社で米国債の最上位格付けを維持しているのは、ムーディーズのみである。
ムーディーズも米国債を格下げすることになれば、大幅な株安とドル安を生じさせることが考えられる。米国債価格の下落につながる可能性もあるだろう」
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ウォール街

   さらに、金融市場が混乱に陥るというのに、経済指標の発表が延期されることで、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策も動きが取れなくなるのだ。

「目先のところでは、10月6日に9月分雇用統計、9日に9月分CPI(消費者物価指数)が公表予定となっているが、政府閉鎖となれば、それら経済指標の発表は遅れる。さらに政府閉鎖が過去最長の5週間を超えれば、10月分の統計の発表も遅れることになりかねない。
FRBは政策判断の重要な材料を得られないことから、政策変更は見送られやすい。さらに、実体経済の動きが明らかでなく、FRBによる適切な政策対応が期待できないことが、金融市場の不確実性を高め、市場のボラティリティ(価格変動)を高めることになるだろう。
政府閉鎖が、長期化すれば米国経済、金融市場に大きな影響を及ぼす。その場合、影響は米国内に留まらず、世界全体の大きなリスクとなるはずだ」

(福田和郎)

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