いすゞ自動車と子会社のUDトラックスが2025年10月29日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催した日本最大級の自動車見本市「ジャパンモビリティショー2025」で、自動運転で走行する電気自動車(EV)路線バス「エルガEV自動運転バス」を初公開した。また、大型トラック「ギガ」を改良した新型モデルなども展示している。EV路線バスなど各車両が展示、コンセプトカーも「エルガEV自動運転バス」は、24年5月に発売したEV路線バス「エルガEV」をベースに開発した。25年10月中旬から26年1月下旬にかけて神奈川県平塚市で実証実験を行うとし、いすゞは27年度に人手不足を解消する自動運転の実用化を目指している。同社とUDトラックスの共同ブースでは、「エルガEV自動運転バス」のほか、約10年ぶりにデザインを一新した改良モデル「ギガ」や、小型EVトラック「エルフEV」のゴミ収集車などの車両も展示している。新型の「ギガ」は、安全性能を拡充し、車輪が脱落する予兆を検知してドライバーに注意喚起したり、左折時に自転車を巻き込む危険性が高まった場合にブレーキが作動したりする機能を標準装備した。また、最大積載量も増やしている。ブース内にある登壇スペースの隣では、新たな物流の可能性を形にしたコンセプトカーも初公開した。「VCCC(VerticalCoreCycleConcept)」という新車両で、さまざまな用途に応じて荷台部分を載せ替えられる特長があるという。いすゞの南真介社長は、10月29日の報道向けプレスデーで、このコンセプトカーを紹介しながら、次のように語った。「『運ぶ』の課題を解決することで、今よりも便利で効率的な社会を作っていく。私たちが見据える未来は、人や物の流れがもっとスムーズになり、一人ひとりの生活が生き生きする社会です。私たちは困りごとの解決にとどまらず、新しい仕組みや形を生み出し、よりよい未来を示していかなければなりません」「『運ぶ』の課題」とは、南氏とUDトラックスの伊藤公一社長によると、輸送需要の増加や、物流業界の人手不足、長い荷待ち時間、地方における移動手段の制限などだ。そして、こうした課題解決の糸口になるのが、「自動運転」と「コネクテッド」へ取り組むことだという。南氏は、「いすゞは2027年度以降の自動運転実用化をより現実のものとするため、北海道で新たなテストコースの稼働準備を進めています。将来、配達や集荷も、自動運転でサポートできることを目指します」との方針を示す。伊藤氏も、「いすゞの商用車情報基盤『GATEX』(ゲーテックス)のコネクテッド技術を組み合わせれば、車両の故障、積荷の状態管理など、さまざまな情報をスムーズに連携させることができます。より良い未来に向けた技術開発はこれからも加速していきます」と説明している。未来の「運ぶ」を体験できる展示物今回のブースでは、「『運ぶ』で描こう、みんなの未来」というテーマを掲げ、来場者に未来の「運ぶ」を体験してもらえるような空間になっている。記者は「みんなの未来バス」と題する展示物を体験した。白い箱型のオブジェに足を踏み入れると、正面と左右の面にある巨大なスクリーンが目に入った。そしてバスのような座席も用意されていた。椅子に座っていると、行先表示に「うごくオフィスの未来」と出てきた。するとスクリーン上には、なんと北極圏のような氷河が浮かんできた。鮮明に映し出されると、氷河の中をゆっくりと移動し始める。左右の画面には、ペンギンなどが登場し、まるで車窓から風景を眺める体験ができた。この展示物には、「ここは、『動かなかった場所』を自由に運ぶ、みんなの未来バス。場所とは、そこにあるもの。そんな"あたりまえ"を、『運ぶ』で動かしてみる」との説明が書かれていた。このほか、ステッカー作成や自動運転のVR体験なども用意されている。「ジャパンモビリティショー2025」は、25年10月30日から11月9日(一般公開は10月31日から)に開催する。いすゞとUDトラックスの共同ブースは、東京ビッグサイト東展示棟1階にある東5ホールにある。
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