受験生、重要な商談を控えるビジネスマン、重篤な病気を患う人......そうしたインフルエンザにかかりたくない人にとって、「抗インフルエンザ薬の予防投与」という選択肢もある。いったいどういうものか。服用できる条件などをみていこう。高止まりが続くインフルエンザ発生頻度インフルエンザの流行が気がかりだ。株式会社アナムネ(東京都中央区)が2026年1月にまとめたニュースレターなどによると、今シーズンの流行の特徴は、スタートが9月とかなり早かったことだ。「流行シーズン入り」の目安は、インフルエンザの定点当たりの報告数が「1.0」を超えたとき。昨年(25年)は9月22日~28日時点で、すでに「1.04」となっていた。例年より1か月以上早い流行シーズン到来である。しかも7週後の11月前半には、「30」を超える警報レベルに達し、さらに11月下旬には「51.12」に。まさに猛威を振るった。その後、減少傾向にはなったが、ほとんどの自治体では現在も高止まりが続く。しかも空気が乾燥した状態が継続しているので、いつ、誰が感染してもおかしくないといえそうだ。インフルエンザにかかりたい人は誰もいないだろうが、とくに受験生や、大切な商談を控えているビジネスマン、出産間近の女性、重篤な病気を抱えている人などは、どうにかして感染を避けたいだろう。手洗い、換気、マスクといった日常的な予防に加え、ワクチンを接種するといった対策は大切だが、もう一つの方法がある。それが「抗インフルエンザ薬の予防投与」だ。通常、タミフル、リレンザなどの抗インフルエンザ薬は、検査をして感染が確認されてから投与されるが、特定の条件に該当する場合、医師の診断により予防的な服用ができるという。想定される受診者の目安は次のような条件に当てはまる人だ。1、同居家族や同じ職場の同僚などがインフルエンザ陽性となり、日常的に密接接触が避けにくい場合2、受験、出張、重要商談、登壇など、他の人に代理を頼むのが困難なイベントを控える場合3、基礎疾患や合併症リスクが高く、医師が発症・重症化リスク低減の必要性を認める場合ちなみに、3に関して、日本感染症学会では、次の9項目に該当する人はインフルエンザの合併症リスクが高いとしている。◎5歳未満(とりわけ2歳未満)の幼児◎65歳以上の高齢者◎慢性の、肺疾患(気管支喘息を含む)・心血管疾患・腎疾患・肝疾患・血液疾患・代謝性疾患(糖尿病を含む)◎神経疾患(脳脊髄障害、末梢神経障害、筋障害、てんかん、脳卒中、精神遅滞、中等度以上の発達異常、筋萎縮、脊髄外傷を含む)◎免疫抑制状態の患者(免疫抑制治療を受けている、あるいはHIV感染を含む)◎妊婦および出産後2週以内の女性◎アスピリンまたはサリチル酸を含む薬物治療を受け、ライ症候群のリスクのある18歳以下◎BMI40以上の肥満の人◎ナーシングホームなどの長期療養施設入居者「抗インフルエンザ薬」で期待できることは今シーズン流行しているインフルエンザウイルスは、「サブクレードK」。A型インフルエンザウイルスの変異株だという。9月以降11月5日までに採取された国内株を分析した結果、約96%がこの型のウイルスだったことがわかっている。このタイプのウイルスは感染拡大スピードが速いが、通常の抗インフルエンザ薬で、発症を抑制し、発症しても症状を緩和させる効果があるとされる。抗インフルエンザ薬の費用は、予防投与になると原則自費となる。またどの薬剤を使うか、投与する用量に関しても医師の判断となる。今回のニュースレターを監修した呼吸器内科専門医の山口彩氏は次のようにアドバイスする。「自分が予防投与の対象になるのかご自身で判断されるのは難しいかと思いますので、『自分や家族の場合はどう考えればよいのか』と迷われたときには、自己判断で様子を見る前にオンライン診療も含めて早めに医療機関に相談してください」
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