小池百合子都知事が語る「育業」と企業の成長力 子育ての「バリア」をどう減らす?

区長3人が語った自身の育児 哺乳瓶を煮沸した鍋を前に「茫然」

   続くトークセッションには、小池知事とともに都内の女性3区長が登壇した。

   江東区の大久保区長が話したのは、第1子育児での経験。当時は男性の育休取得がほぼゼロで、育児を実質的に一人で担っていた。1日に14回のミルク。レンジ消毒の道具はあったが、使うと手抜きになるという思い込みがあり、大きな鍋で哺乳瓶を煮沸し続けたという。大久保区長は、

「沸騰する鍋を前に茫然としてみたり、夕日が落ちてくると悲しい気持ちになってみたり」

と当時を振り返る。孤独な育児が母親の負担になることを、身をもって知った。

   港区の清家区長が挙げたのは、自身が新聞社に勤務していた頃の体験談だ。周囲には「子どもを産んだら仕事ができなくなる」と言われ、社会の無理解を痛感。区長就任後は少子化対策本部を自ら率い、「港区こどもまんなか宣言」を掲げ、「実家のような地域社会」を目指している。

   品川区の森澤区長は、夫の海外転職に伴って正社員を辞めた経験を持つ。帰国したとき、子どもは0歳と2歳。再就職を目指すも働き口はなかなか見つからなかったという。森澤区長は、

「まだまだ社会は、子育てしながら働くことに冷たい。制度も仕組みも整っていない」

と話す。同区が力を入れるのは行政からのアウトリーチだ。0歳児家庭に育児用品を届ける「見守りおむつ定期便」について、森澤区長は、

「同じ支援員が毎月届けに行き、そこで話を聞く。何か困っていることはないかと尋ねる」

と述べ、施策の目的は品物を届けることだけではないと説明した。

   最後に3人は、目指す子育て環境を一言ずつ挙げた。

   清家区長は「子どもを中心に笑顔が広がる社会に」、大久保区長は「社会全体で温かく子育てを見守る世の中を」、森澤区長は「子育てへの寄り添いと支え合い」。3区長が語った経験は異なるが、そこには、子育てを一つの家庭だけで抱え込ませないという共通した思いがあった。

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